表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/73

「今日の東京のお天気は雨。ところにより、雨脚がかなり強くなりそうですので、大きめの傘を持ってお出かけください♪」


 にこやかなお天気お姉さんが、番組のロゴの入ったビニール傘をさして、そう言った。


「今日のお洗濯予報はバツ!洗濯ものは部屋干しにしてくださいね!」


 そんなことを言われなくても、この土砂降りの中に、あえて洗濯物を干そうとするツワモノはいない。おそらく、この状態で干されている洗濯物があるとしたら、それは昨日からずっと干しっぱなしだったのだ。


 朝には乾くだろうから、そのときに取り込もう。それでいーじゃん。……と思って、雨に降られちゃったパターンだ。


 今日の三樹みきのように。


 ちなみに。こんなことを書くと蛇足になるかもしれないが、三樹が洗濯をしたのは昨日ではない。


 一昨日だ。


 その間、どこかで外泊をするなどのやむを得ない情事……もとい、事情があった……わけではない。ただ、取り込むのが億劫だっただけという、色気とは無縁の話だ。とても残念な話だ。


 一昨日の夜に洗濯物を干した。その時の彼女は、

(ま、明日には乾くだろうから)

と、気楽に考えていた。


 朝が来た。生乾きだった。仕方がないから、帰ってから取り込もうと思った。


 いざ、仕事を終えて帰ってみると、すっかり疲れてしまって何もする気にならない。

 ベランダに揺れる洗濯物を、見て見ぬふりをする。


 だって、洗濯物を取り込んだら畳まなくてはいけない。

 畳み終わったら仕舞わなくてはいけない。


 それなら、いっそのこと、今は取り込まなければいい。なんて素晴らしいアイデアなのかしら!……


 という、ぐうたらな論法だ。何気なく空を見て、自分に言い聞かせる。


(今、取り込まなくても大丈夫だろう……)


 今日は天気も良かったし、夕焼けもきれいだった。それが突然に崩れるとも思えない。今日はちょっとくたびれているから、しっかりと休んで、リフレッシュして明日の朝に取り込めばいい。


 何事にしても、ムリはよくない。うんうん、と自らの考えを肯定するべく、数回うなづく。


 そして、安らかに眠った。


 ちょっと待て、どこかに雨の前兆がないか?気が付け。もしもーし。いい夢を見て、にやけている場合じゃないだろうが。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ