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私は魔王様の秘書なのです!  作者: 春夏秋冬
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異世界転生

「・・・・・・平和だ」

私は◯◯◯◯

ごくごく普通のゲーム好き高校1年生

さっき「平和」などと言っていたが、決して穏やかな感傷に浸っていたわけではない。

むしろ、その逆と言える。平和すぎる。何か刺激が欲しいのだ。

けれど、薬物などに手を出す度胸はない。別に戦争が起こって欲しいわけでもない。ただ、暇なのである。

まあ確かに、こんなことを悶々考えていても状況が変わるわけではない。

「ゲームの中の主人公とかなってみたいなぁ・・・。」

そんな子供じみた願いを持っていた。

いつか未来には、自分の意識がゲームの中に入って、体験型に出来る装置とか出来るのだろうか。もし出来たとしても、多分その時には私はおばあちゃんになっているだろうが。

まあ叶うはずのない夢だ。とっくに諦めている。


そんなことを考えていたある日、学校の帰りに友達の◯◯と話しながらホームで電車を待っていると




ードンッ



ーえっ?

突然背中に衝撃が走り、視界が反転する。


「きゃーーーーーー!」


悲鳴が聞こえる。

何が起こったか理解できないまま、目の前には電車が・・・


やけにスローに見える景色。人間は死ぬ瞬間は動体視力が上がり、周りがスローに見えるというのは本当だったのだろうか。ここで、走馬灯を見たりするのだろうが、私は「いっけね♪死んだわ」と呑気なことを考えていた。


ードカン!


身体に衝撃が走ったが、不思議と痛みといったものはなかった。よく見えないが、電車に跳ねられたのだろう。目の前には千切れた下半身が赤く染まっている。

痛みも感じず、ただただ何かが抜けていくような感覚。


今思うと、この時の私はバカだったのだろう。こうなったら!己の願望を晒すしかないでしょう!などとヤケになっていたのだ。

そう、私は極度のオタクだった。

(あぁ・・・!なんかゲームの中のキャラクターとかになってみたかった!)などと思っていた。


薄れゆく意識の中で何か白いモヤのようなものが見える。

「ーへぇ、あの子面白いね」


何か聞こえたような気がするが、幻聴だろうと聞き流す。


(けどけど!勇者とかそう言うのじゃなくて勇者の仲間の魔法使いとかやってみたい!)


「ふむふむ」


(あっ!魔王陣営でもいいかも!)


「オッケー要望通りに転生させてあげるよー。」


その幻聴を最後に、視界は暗転した。


「ふふ。」


その声の主は一人の人間の最後を見届けた後、薄く笑いながら消えた。








ある城では、その世界の4柱の魔王うちの一角が、ある魔法を行なっていた。

美しい銀髪に、切れ長の紅の瞳。漆黒の禍々しい角を持った美しい魔王…ゼノスである。

魔王ゼノスは勇者と戦った際に被害を受けた魔王城や人材不足を解消するための召喚術である。


「…我の右腕になるような魔人を」

ーピカッ ドォォーン!

魔法陣から大きな音と光を放ち、煙の中から人影が見える。

「成功か…?」


「…ゲホッゲホ…?」

中から現れたのは銀髪で、端正な顔立ちの悪魔であった。


氷のように無表情な悪魔はジッと魔王ゼノスを見つめる。


(んん!?目の前に魔王っぽいイケメンがいるではないか!

…コレは、夢なのかな?リアルな夢だけど?まさかまさかまさか!コレはっ!異世界に転生出来たのでは!…いいや。万が一の可能性もある!状況を確認せねば!)


目の前には、明らかにツノが生えている魔王っぽいイケメンが1人。ソッと自分の体を確認する頭に何かトガっているものが付いている。(コレはツノかな?)

髪は銀色で腰くらいまである。(長くね?)

背中になんか膜?のようなものが付いている。(翼だよなぁコレ。)

ーそして、とても軽い身体。(前世は出来なかったバク宙3回転とか余裕で出来そう)

・・・確認が終わったのでソッと目の前の人に視線を戻す。(話しかけてみよう。てか、通じるのか?)


心の中は騒がしいようだが、表情はピクリとも動かない。魔王ゼノスは目の前の悪魔を見極めていた。


「ええと・・・?あなたは誰ですか・・・?私は何故ここに?」


「ー貴様は我が召喚したのだ。

そして我はこの世界の頂点にいるー魔王ゼノスだー」


「・・・魔王・・・」


(あ、やっぱり!?予想通りだな!)

コレは・・・夢か!いや、夢じゃないとしたら!コレは!

異世界転生してしまったのでは!!

ヤッタァーーー!!!!神様!ほんっーーーとーーーにありがとう!!

・・・まてよ、私がこの人に召喚されたのが本当だとしたら、なんで召喚したんだろう?

普通に考えれば人材が足りないと推測できる。つまり、私は奴隷のように働かされる可能性があるのでは!?)


相変わらず心は騒がしいが口に出るのは淡々とした言葉と、氷のようにピクリとも動かない表情である。


「・・・何故私は召喚されたのでしょうか?」


「・・・我の右腕となる人材が要るのでな。ある程度に強い者でないといけないのだ。

だから貴様を召喚した。」


(ええぇ?私が魔王の右腕?私全然強くないよ?まぁ確かにね?見た目だけは強く見えるよ?

この身体は。見た目だけは、ね?)


「私は、ご期待より強くないかと。」


「何を言っているのだ?貴様は我の配下の中で1番強いぞ?」


魔王ゼノスは自身のスキルで、目の前の悪魔を見たが、恐ろしいほどの魔力量と体力。この世界では魔力量と体力が強さを測る上で重要視されるため、目の前の悪魔を「強者」として見ていた。それに気づきながら、自分を下げるような言動をしているため、目の前の者を「狡猾」と評価していた。


(えぇ?そんなに強いと思われてるの?まてよ、この世界に転生したときにスキルとか獲得してたりするのかな?)

ステータス確認がしたいけれど、やり方がわからない。

なんとなく「ステータス」と呟いてみる。すると、ゲームのようなステータス画面がピコン!と現れる。

(嘘でしょ?ゲームみたいだなおい)

とりあえずステータスを確認してみる。


個体名:なし

種族名:聖なる悪魔

ジョブ:全て

魔法:魔法創造、

耐性:物理攻撃耐性、状態異常耐性

特殊能力:形態変化、魂操人形(ソウルマリオネット)、思考加速


こんな感じだった。ツッコミどころ満載なステータスだ。

(まず、聖なる悪魔ってなんだよっ!完璧矛盾してるじゃん!

2つ目!ジョブが「全て」ってなんだよ!・・・もしかして形態変化で前衛か後衛それぞれに適した形態になれるってこと?

3つ目、コレが1番ナゾなもの。魂操人形ってナニ?

字面から考えるに、魂を操れるのかな?)

そんなことを考えていると、ゼノスが口を開いた。

「貴様には、色々とやってもらうことがある。だがその前に、覚えてもらわなければいけないことが山のようにあるが、時間が無い。とりあえずこい。」

私は素直にゼノスに近づく。

すると、頭のなかに大量の情報が流れてくる。この世界についてだ。

大事なことをかいつまんではなすと

ーこの世界には勇者がいること。勇者は死ぬとまた違う勇者が誕生する事

ーこの前勇者がきたときに返り討ちにしたものの、戦力がかなり削られてしまったこと

ー最近、新しく勇者が生まれたこと

ーこの世界の主なエネルギーは魔力だということ

ー仕事内容は、魔王軍の指揮、魔王城の管理、情報収集などなど…

仕事の内容を理解した麗奈は、これから始まる異世界での生活に心を踊らせていた。

(細かい内容はちょくちょく見ていこう)

ゼノスは、仕事の内容などを理解したレイに一つ尋ねた。

「わかったか?貴様、名はあるか?」

(えっと、私は一回死んだから名前はないハズ)

人であった時の記憶を前世とすると今の名前は無いと判断した。

「ありません」

「そうか、ならば我が付けよう。貴様の名は・・・レイだ。」

(まさかの1文字違い!まぁ覚えやすいからいいけどね。)

東城麗奈改め、レイは極度のオタクであったため、余り物怖じしないようだった。怯えるどころか、異世界での生活を楽しみにしていた。

(そういえば、この人はなんて呼べばいいんだろう?)

「貴方様はなんとお呼びすれば?」

心の中ではぞんざいな口調でも、実際は敬語でたずねる。先程からの翻訳のような力を当のレイは違和感すら感じずにいた。

「…不快でなければなんでもいい」

「ならば、ゼノス様とお呼びしても?」

「まぁ、良いだろう」

「…では、これからよろしくお願いしますゼノス様」

「…あぁ」

ゼノスはそう呟くと、すっとどこかに消えてしまった。


レイは違和感に気付かないまま、仕事をしに魔王城の中に入って行った。


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