第一話 軍本部にて
今日は帝王暦春の月の10日。今日で私の有給休暇は終わりまた、あの忌々しい貴族どもと顔を合わせなくてはならない。
しかし、何故だ・・・?何故魔法使いと呼ばれる人種には貴族が多いのだ・・・?
しかもどいつもこいつも自尊心の塊のような奴ばかりだ。仕事が出来ないくせにやたらとでしゃばりたがる。ただ一人を除いては・・・
「やあ、おはよう。」
私は軍本部の廊下であったそのただ一人の尊敬するべき貴族の女性に挨拶をした。
「おはよう。ジョナサン特務魔道三佐殿♪」
(おやおや今朝の彼女はご機嫌がいいようで・・・)
「もう聞いただろうけど私に中隊長就任の辞令が来たんだが・・・如何思う?」
すると彼女は微笑みながらこう言った。
「それ、私の父の手回しですよ〜?仕事の出来ない馬鹿よりもあなたのほうが隊長に適任ですから♪。」
「何ッッつ!?」
思わず吹いてしまった。
「あれ?気づきませんでしたか?私はてっきり気づいているとばかり・・・」
そしてそんなこんなで我が中隊に割り振られた部屋についた。
父親の爵位が高い奴が多い隊ほど大きな部屋が割り振られるらしい・・・
「おやおや、同伴出勤ですか隊長殿に副隊長殿?あまり僕の足を引っ張るなよ?クククククッ。」
(相変わらず癇に障る声だ・・・隊長になったことだし此処は少し締め上げておくか・・・)
「黒き闇の力に体を蝕まれ命をすり減らすがいい・・・」
私はそいつに新作の呪術系魔法を掛けてみた。
「ヒイッ!?止めてくれ!!苦しい死にたい痛いイタイイタイ・・・・・・」
「ふむ・・・発狂する前で止めれて便利だなぁ・・・うん。採用。」
私は実践で使える魔法の誕生を祝いながら隊の皆さんに紅茶を淹れてやる事にした。
しかし、何故か副隊長であるスノウが飲むまで誰一人として紅茶に口をつけなかった。
さすがに私でも無関係の人間の茶に毒をいれたりはしないが・・・
ちょっと感想を新米の坊ちゃんに聞いてみた。
「と、とても美味しいです・・・お願いですから勘弁してください・・・。」
言っている事がむちゃくちゃだ。一体何を勘弁しろというのか。
するとそこでスノウが発言した。
「とりあえずジョナサン隊長殿は就任の挨拶をすべきではないでしょうか?」
確かに、流れですっかりわすれてた。ああ・・・関係ないけどパスタ食べたい・・・。
「ああ〜これから諸君の隊長を勤めるジョナサンだ友人はジョンと呼ぶがな。だが貴様等には私をジョンと呼ぶ資格はない。私を呼ぶ時は「隊長殿」しか認めん。作戦時のコードはアンブレラだ。
そして、私の部下になったからにはお前等は実戦で私に認められるまではこの世界で最も下等な生命体だ。私に意見する時はしっかり考えてから意見しろ。無意味な文句は聞きたくない。以上。」
この挨拶を終えて周りを見るとスノウ以外の全員が顔面を蒼白にし・・・怯えていた。