①-11
11
平日練習には一年生は参加できないとの規約どおり、火曜日に悠李や健吾はやってこない。しかし二年生のみひろチームの子たちは参加する。はっきりいって一年生悠李チームのほうが技術がしっかりしていて上手だったが、この週二回の平日練習では二年生につきっきりで指導できたため、一年生との差は日に日に縮まっていった。
それとともに、一人ひとりの特徴や性格もだんだんと分かってきた。Jリーガーを目指している子、Jリーグを飛び越えて海外プレーヤーを夢見ている子、友だちがやっているからなんとなくサッカーを始めた子、お兄ちゃんが大東SCに入っていたから入った子。負けず嫌いな子もいれば人見知りの子もいる。
僕は子どもに対して先入観を持って接することは絶対にしない。必ず会話を通して子どもを理解するように努めるのが僕の信条だ。早速、みひろと話をすることにした。
「みひろ、この前さあ、急にキャプテンにしちゃったけど、そのままキャプテンでいい?」
「うん、いい」
「もし嫌ならほかの人にするけど」
「キャプテンやる」
「分かった。じゃあキャプテンよろしくね」
「うん」
緊張している様子でもないが、みひろは物静かだとの印象を受ける。
「みひろ、兄弟はいるの?」
「弟がいる」
「兄弟げんかはいっぱいやってる?」
「う~ん、あんまりやらない」
「えっ!なんでやらないの?お母さんに怒られるから?」
「そんなことない」
僕は、意表をつく答えにちょっと驚いた。
「じゃあさあ、例えば、みひろが持ってるおもちゃを弟が欲しがったらどうするの?」
「あげちゃう!」
「へぇ、あげちゃうんだ」
大人のような答えに会話が止まりそうになる。
「TVゲームはたくさんやる?」
「あんまりやらない。外で遊ぶほうが好きだから」
完全にノックアウトだった。みひろと話してみて、率直に珍しい子だなと思った。兄弟げんかをほとんどしない。そして外遊び好き。友達に対していつも笑顔で柔らかい態度で接していたのは、みひろにとっては自然な振る舞いだったんだと分かった。二年生の中でも言い合いや喧嘩はあったが、みひろがその輪に入っているのを見たことがない。キャプテンの資質として、サッカーの上手下手よりも仲間からの人望が厚いかどうかはとても重要だ。さらにコーチの意を汲んでくれれば、コーチとしてはとてもやりやすい。みひろは、その両方を兼ね備えており、みひろをキャプテンにして正解だったなと改めて思った。




