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合宿を終えて一週間が経った日曜日。朝の大東小学校は、いつものようにボールを追いかける子どもたちでいっぱいだった。

 僕の周りにもボールを持った小さなフットボーラーが集まっている。相変わらず静かな次男三人組、相変わらずにぎやかな悠李、祐平コンビ。そのほかにも、ボディバランスと向上心に長けた健吾をはじめ、人数が増えた悠李チームは活気に満ち溢れていた。

 その一年生悠李チームに初めての試合の日がやってきた。大東SCとして申し込んだ、地元フットサル場主催の大会で、一、二年生が同じリーグとなるため、一年生だけのチームには不利な大会だ。

 夏休みもあと一週間となった水曜日。一年生悠李チームは元気いっぱいプレーする。試合慣れをしている次男三人組と健吾を中心にどんどん得点を重ねていく。ママさんたちの声援も子どもたちを後押しし、伸び伸びと思いのままにプレーをする一年生悠李チーム。

 誰かがミスをしても誰も文句を言うことなく、仲間を自然とフォローするというプレースタイルで全勝優勝をした。大量得点だったからなのかもしれないが、失点を人のせいにして罵ったり馬鹿にするのではなく、みんなで協力しながら助け合う形で全試合戦えたのは一年生たちにとってとてもいい経験になったはずだ。

 試合というものは、失敗を責める場ではなく協力し合って最後にみんなで喜び合う場だと学んでくれていたら、悠李チームは今までにない最高なチームになる。悠李チームにとって良い船出となった。

 九月になったものの、朝八時には気温が三十度近くに達する日曜日。体が溶けるように汗が流れるが、一年生たちは元気いっぱい。悠李と祐平の言い合いも相変わらず元気いっぱい。

 そんな中、チームに変化が訪れた。今まで三年生チームと合体していた二年生たちが、今日から一年生チームと合体することになったのだ。

「今、三年生の人数が増えててさあ、九月から三年生単独チームにしようと思ってるんだよね。一年生ってさあ、今、十人しかいないじゃん?」

 監督補助大口コーチの言いたいことはすぐに分かった。

「だから成島さんさあ、二年生の面倒も見てくれない?」

「一年生二年生が合体するってことですね?」

「そういうこと~」

 大口コーチに直接打診されたこの合体案。上級学年を優先するしきたりだから、これは提案ではなく決定事項だ。

 僕は、この五か月間一年生担当コーチだったが、平日練習では二年生とも顔を合わせていたので面識はあった。だから日曜日練習の時には、二年生たちの様子も時々チェックしていた。

まず、二年生のお父さんコーチは一人しかおらず、父親の協力が乏しい。三年生のお父さんコーチたちは我が子を優先することに必死で、二年生たちを指導するというより三年生の邪魔にならないように、いつもミニゲームで遊ばせているだけ。二年生たちは技術を上達させるためではなく、遊ぶために大東SCにいる。そんな感じだった。

 二年生たちとは顔見知りだったが、唯一のお父さんコーチとは初対面だった。

「山下と申します。これからよろしくお願いします。僕はサッカー経験がないんですが、お手伝いできればと思ってコーチをやらせてもらってます。成島さんには子どもたちの相手をしてあげてほしいと思ってます。僕は、ラインを引いたりレフリーをしたりと、裏方の仕事をしますから、ぜひ子どもたちをよろしくお願いします」

 山下コーチは僕よりちょうど一回り年上のパパ。背は低いものの、土建会社の人だけあって色黒でごっついという言葉が似合う人。山下コーチには、四年生藪口組に哲也てつや、二年生チームに竜太りゅうたの二人の息子がいる。本来なら四年生コーチになるのが流れだが、四年生チームには長男三人組の父親三人がコーチとして君臨しているため、担い手のない二年生コーチをしているのだ。

 九月になり、突然の大所帯となった我がチーム。練習内容をどうすべきか一瞬考えたが、一年生と同じことをすることにした。

 それでも、今まで遊ばされていただけの二年生たちは、目を輝かせて楽しそうに練習に励んだ。

「よーし、じゃあ今日はこれで練習終わり!中庭に移動して体操するよ」

「え~っ、もう終わり~!」

「もう野球部来てるだろ?ほらっ、早く水筒持って移動!ビブスはこの袋に入れてよ」

「ねえコーチ。誰がキャプテンやるの?」

「そうか。キャプテンいないと体操の掛け声に困るね。じゃあねえ・・・」

 僕は中庭に向けて歩く子どもたちを見回し、キャプテンにふさわしい子を探した。

「みひろ!みひろ、キャプテンやって!」

 二年生の中で一番身長の大きかった男の子、みひろをキャプテンに任命した。

 こうして、二年生みひろチームと一年生悠李チームが合体したみひろ組は二十一名プラスコーチ二名での船出となった。

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