13章 3話 私は
ノイズがかかったような声で、ザザザと途切れ途切れに少女らしき声はこう言った。
ゆめ、せかいいち、つよく
ハッとルカは意識を取り戻す。ここはどこだ、…道場?
ルカは気がつくと古びた道場にいた。周りを見渡すと、雑多に物が散らかっていて、小学生らしき子達が走り回っている。
思い出した、そういえば私小学生の時剣道習ってたんだった。でもどうして今まで忘れてたんだろうか。
ルカが茫然としていると、ルカに声をかける少年がいた。
「斎藤、どうしたんだ?」
少年はキョトンと首を傾げてこちらを窺った。濃い青の道着を着ているせいか、色白の肌がより一層目立つどこか見覚えのある少年だった。
「あ、『ユウタくん』」
咄嗟に口をついて驚いた。自分はこの『ユウタくん』を思い出せないはずなのに、どうして名前だけ、、?
「先生のとこ行かないのか?今日はもう稽古終わりだぞ」
「あ…うん、すぐいく」
そう返事すると、ユウタくんはニッと笑い、先生の方へ走って行った。
意識はまたそこで途切れ、景色が揺らめく。
「…は?世界一強くなりたい?」
次にルカが気がつくと、そこは前とは違う別の道場だった。いつの間にか自分は20人くらいの中学生達の前に立っていた。
「お前、おかしいんじゃないの?」
唐突にそう言ったのは、つり目で短髪の少年…少し幼いが紛れもなく金子隊員だった。
「ちょっと、あんた彼女にそんな言い方」
と近くにいた女の子がつつく。だがその女の子も口元が笑っている。
周りの子は口々にヒソヒソと話す。
「ハルカ(、、、)ちゃんそんなに強くないじゃんね」「こんな弱小部で部長だからって…」「ネタでしょ?本気だったらちょっとおかしいよ」
何の話をしているかもわからないが、ルカは胸が握り潰されるように痛んだ。
おかしい、おかしい、おかしい、その言葉が頭をグルグルと駆け巡る。押し潰されそうに気分が悪い。
「おかしな夢を見る暇があるなら勉強しろ!」
どこかでそう聞こえた途端、ルカの耳から全ての声が遮断され、ピーーという電子音みたいな耳鳴りだけが激しく木霊した。
そうだ…夢…私の夢は…
せかいでいちばんつよくなること。




