13章 2話 四獣の神器
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翌日、ルカとカホ様は早起きして(というかルカはカホ様に叩き起こされて)車に乗り込んだ。今回は、ルカとカホ様と松浦隊員という少数の移動なので、運転手含め4人が乗れる軽自動車しか借りられなかった。
すると後ろから声をかけられる。
「おい、お前達どこにいくんだ」
振り返ると、そこにいたのは武田将軍だった。カホ様が事情を軽く説明すると、武田将軍は、
「それなら僕も同伴じゃなきゃ入れないじゃないか。他所の組織は将軍以上の地位の者のパスがないと通れんだろう」
…そうだったのか。
危うくUターンする羽目になる所だった。ありがとうございます、と言い全員は車に乗り込む。
…が先程も述べたようにこれは軽自動車。
「4人乗り」なのだ。
「ルカちゃん、もうちょいそっち行けない?」
「無理です…」
「開ければいいだろ、その横の扉」
「へ⁉︎殺す気ですか⁉︎カーブで振り落とされますよ!」
などと大騒ぎ。(ああ、お決まり…)てんやわんやのままサバクの組織に着いた。
武田将軍のパスを使い、門を潜るとタロー将軍とジロー将軍が2人揃って出迎えてくれた。
「よく来たな、まぁわざわざここまで来たってことはそういう事だよな?」
そう言いニヤリと松浦隊員を見る。松浦隊員は眉間に皺を寄せ唇を噛みながら頷いた。
タロー将軍は顎でくいっと右を指し、
「着いてこい、鏡は裏にある」
と言った。一同はそれに従い付いて行ったが、武田将軍だけはジロー将軍に呼び止められた。そして少し話をすると、そのままどこか違う場所へ行ってしまった。
普段は先輩後輩位に接しているので忘れがちだが、武田将軍は自分達の上司であり、かなりのお偉い方。上層部の話を盗み聞く勇気はなかったので、ルカはそのまま皆に付いて行った。
「これがそうだ」
とタロー将軍は鏡をバシッと叩いた。
「そそ、そんなに叩いて割れませんか」
とルカがおそるおそる言うと、タロー将軍はさらにその鏡をバシバシ叩きながら、
「大丈夫だ。この鏡は『四獣の神器』の1つ、『朱雀の大鏡』だ。決して壊れる事はないし、その魔力が失われる事もない」
四獣の…神器。
初めて聞く名前にルカは首を傾げる。するとカホ様が解説をくれる。
「四獣の神器っていうのはね、この世界に散らばった4つの魔力を持つアイテムのこと。『白虎の剣』『青龍の盾』『玄武の筆』そして『朱雀の大鏡』よ」
「その通り、白虎の剣は大地をも斬り、青龍の盾は唯一それを防ぎ、玄武の筆はあらゆる知識を書き起こすという。そして朱雀の大鏡は『現実世界』を写す」
「そんなすごいもの叩いたんですか⁉︎」
というルカの叫びを無視し、タロー将軍はその大鏡の前で手をふっとかざす。すると、ブゥンと小さな音を立てると、鈍色でなにも写していなかった大鏡は虹色に揺らめいた。
「手でこの虹色の面に触れてみろ、各々が見たい時間軸の『現実世界』を見れるはずだ」
松浦隊員とカホ様はすっと手を伸ばし、目を瞑った。ルカは少し躊躇する。
特にこれといって理由はないのだが、どうしてだろう。現実世界を見るのが怖くて仕方がない。
ルカは恐怖を握り潰すようにぐっと手に力を込め、そしてゆっくり大鏡に触れた。
すぐにルカの意識はぷつんと切れ、脳裏には忘れていた出来事が蘇った。




