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ウミノオト  作者: Sofia
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終章

妹さんから話を聞き僕は呆然とした。

波子さんは余命宣告を受けているほどのひどい病気を持っていて人生最後のわがままということで香川に来て高校生をやっていたらしい。

東京に帰ったのは助かるためでなく、延命のためだけだそうだ。

余命はあと1ヶ月。

再開してまだ何も知っていない。

もっとたくさん話したかった、もっとたくさん遊びたかった。彼女の願いを聞き入れてあげたかった。

今になってそんなことを言っても後の祭りだ。

「でも、最後にもう一度だけ、もう一度だけでいいから会いたい。」

そう津田の浜辺でつぶやき、涙をこぼした。

月がとびきり美しい夜だった。

決断してからの僕の行動ははやかった。

母に東京へ行くことを告げ、母はそれを了諾した。

高松空港から東京空港へは1時間と30分あれば十分に行ける。

少しでも早く彼女の元へ行きたかった僕は、20:00の東京行きの飛行機に1人乗り彼女の元へと急いだ。

病院の住所は妹さんから聞いていた。

羽田空港に着いた途端タクシーを捕まえ病院に向かった。

焦燥感を抑えきれなかった僕は終始しかめっ面をしていた。

病院に着いた途端彼女の病室へと階段を駆け上る。病院内では走ってはいけないが、そんなこと今はどうだっていい。


ガラガラガラ

扉を激しく開ける。

「波子さん!」

波子さんはベッドに横になっていた。

香川にいた時と比べると随分衰弱している。

「山本君!?なんでここにいるの?」

語気のない弱々しい声で尋ねてくる。

「妹さんから聞いたんだ、君の病状の事。どうして、言ってくれなかったんだ。言ってくれれば...」

言葉に詰まった。言ってくれれば僕はどうにかできたのだろうか。いやそんなことはない。

「ごめんなさい、心配かけちゃって。本当は香川に行くべきじゃなかったってわかってたの。病気のことももちろんだけど、山本君にすっごく迷惑かけちゃうことになるかもって。」

迷惑なんかじゃない。

そう言いたかったが彼女は言葉を続けていた。

「それでもね、どうしても死ぬ前に山本君に私のことを思い出してもらいたかったの。ごめんねこんな迷惑なことしちゃって。」

「迷惑なんかじゃない!確かに少し困惑したけど迷惑だなんて一度も思ったことないんだ。君の告白だって素直に嬉しかった、でも僕は自分の気持ちに反した言動を取ってしまったんだ。本当は僕も君のことが好きだったのに。」

言ってから初めて気がついた。僕は彼女のことが好きだったんだと。

「え?」

彼女は驚いている。

「っていうことは記憶が戻ったの?」

「違う、それはまだ戻っていない。僕が好きなのは今の君なんだ。」

「そっか、じゃあまだ記憶は戻っていないんだね。」

彼女は少し寂しそうにそう言った。

「記憶は戻っていない。けれどまいつか戻せるよ、だから、だから死なないでくれ...」

無責任なことを言っているということはわかっている。

1番死にたくないのは、1番生き残りたいと思っているのは彼女なのだ。

「ごめんね。山本君...」

それが彼女の最後の言葉だった。

彼女はその言葉を呟いたあとそっと目を閉じ動かなくなった。

僕は呆然とした。すぐさまナースコールを押した。何度もなんども押した。

するとすぐ看護婦の人が来て、看護婦の人は医者を呼んだ。

病室の中はとても騒がしくなっていた。

その中で僕はただ1人呆然と立ち尽くしていた。


彼女は死んだ。

葬式に出席したのちにようやくその現実と向き合うことができた。

彼女はもういないんだ。

長く苦しかったであろう闘病生活に終止符を打てて彼女は嬉しかったのだろうか。そんなわけはない。

彼女のことは全然知らなかった。

でも好きだったのだ。

僕は胸にポッカリと穴が空いたようなそんな気分になった。


彼女が死んで3年がたった僕は東京の大学に通っている学生となった。

夏休みを利用し香川に帰省したことを期に久しく行っていなかった津田へと赴いた。

彼女が死んでから一度も行っていなかったのだ。

ザーザーと寄せては返す波の音をボーっと聞いているとどこからか幼い男の子と女の子の声が聞こえた。

見ると2人は海水浴ニキているらしい

男の子はカナヅチで泳げないのに女の子が無理やり泳がせようとしたりしてじゃれ合っている。

すると2人のうち女の子が溺れかけた、男の子はそれを救うため海へと潜った。

どうにかして女の子を彼は助けたが男の子の方は本格的に溺れてしまった。

助けなきゃっと思った瞬間その子たちは消えた。

そこで僕はやっと気がついた。これは夢であり無くしていた記憶なのだと。

取り戻した瞬間一気にそれより前の記憶も思い出した。



波子やっと思い出したよ。

そう行って僕は海に飛び込んだ。

波子に会いに行くために。

ご愛読感謝。

この小説は自分の失恋による傷心を少しでも癒すために書きました。

内容や文法目に余るものがあったかと思います。

それでも呼んでくれた皆様方に感謝しています。


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