三章
彼女はしばらく学校に来なかった。
やはり、気まずいのだろうか。
僕は女子ではないので学校で号泣した後に学校に来る女性の気持ちはわからない。しかし、自分に置き換えて考えてみるとそれは相当来づらいものなのだろう。
やはり自分から謝りに行くべきなのだろうか
そう考えた。僕は彼女にかけた言葉に対し間違ったとは考えてない。ただ少し語気が強かったのは認めるが。
しかし彼女の言い分も間違ってはいない。過去の記憶についてはわからないが、付き合っている恋人同士は始めはよく知らない同士で交際を始めるということはおそらくあっている(僕は交際をしたことがないのでわからないが)。
それに、彼女と一緒にいることはおそらく楽しいのだろう。
彼女と一緒にいるとき確かに僕の心は飛び跳ねる。
こんなことを言うのは些か恥ずかしいが、僕は女性との関わりがなかったので恋というものを知らない。
幼少期から本と親しみ、本と馴れ合ってきた僕は、本の中での恋愛はしっているが、現実世界での恋愛というものに関して全くもって無知なのである。
だから彼女といるときの気持ちが何なのか僕にはわからない。
「はぁ...」
僕は彼女の家の前に立っていた。
彼女の家は田舎の豪族の家のような立派な門構えだった。
おそらく彼女の家は立派な家系で財産も多くあるのだろう。
ピンポーン
インターホンを鳴らす
こういうところは現代風なのだなと感心していると、女の子の声が聞こえてきた。
「どちら様ですか?」
「山本です、波子さんはご在宅でしょうか?」
「姉なら家にいますが、どのようなご用件でしょうか?」
波子さんには妹がいたのかと驚きながら、妹さんの丁寧な言葉遣いに感心をした。
「波子さんと少しお話をしたいのですが、通してもらっても構いませんか?」
「確認してきますので、少しお待ちください。」
待っている間に家を見渡すと古風な日本庭園があり、どこか丸亀にある叔父の家を思い出させる。
「お待たせいたしました、では案内いたしますのでお上がりください。」
家に入り、長い廊下を歩いた先に波子の部屋があった。
コンコン
ドアをノックする。
「どうぞ」
波子が返事をする。
ガチャっとドアを開け中に入る。
「僕は君にひどいことを言った、謝らなければいけない。」
「待って、謝るのは私の方突然告白をして、困らせた挙句、振られたことがショックで泣いちゃって迷惑かけちゃったね。ごめんなさい。」
「いや、僕もなんだ何も考えず自分の意見をただいうだけ言って、君の気持ちを考えなかった。悲しませてすまなかった。」
やった謝罪ができたことでなぜが胸が軽くなり楽になった。
「ところで君は、どうして最近学校に来ていなかったんだい?」
「うん、実は私病気がちで振られたことがショックで体を壊しちゃったみたいなの。」
「そうなのか。もう体は大丈夫なのかい?」
彼女はまだベッドの中にいて、あまり大丈夫には見えない。
「うん、だいぶ良くなったかなでもまだ少ししんどいかも。ごめんね心配かけて。」
「そうなのか、体をゆっくり休めてはやく学校に来るんだよ。僕はもう帰るから。」
僕が帰ろうとすると彼女が呼び止めて来た。
「待って、私まだあなたに言ってないことがあるの。」
しばらく間があり彼女はこう続けた。
「私東京に戻らないといけないの。」




