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扇風機

作者: 秋雨 玲翔

さて、夏の名物といえば?

スイカ、海、夏祭りなんて言葉が思いつく。

扇風機もその一つだろう。クーラーをつける前にこいつに頼る。言わば中継ぎ役。こいつで抑えられたら電気代も抑えられるという素晴らしいものだ。

しかし、この扇風機。不便なことに涼しいと感じる範囲が少ない。

ゆえに、

「最初はグー!じゃんけんぽん!」

弟と争う羽目に毎回なるのだ。

ちなみに、今回は弟が勝ったので弟に扇風機の独占権が与えられた。

「あー涼しいなぁ。ここ涼しいよー。」

こちらをちらちら見ながらドヤ顔を決めてくるあたり本気で殴りたい。

「明日は勝つ…。」

そう呟き俺は涼しい場所を求めて外へ出た。


我が家のルール

1.室内の温度が33℃以上の時のみクーラーを使用可能。ただし、室内の温度から-5℃までに限る。

2.どれだけ暑くても朝11時を過ぎるまではクーラーは禁止。また夜は12時以降はクーラーを禁止する。

3.扇風機とクーラーの同時使用を禁ずる。


こんなルールがあるため、家では扇風機が王者である。

なのでいつも取り合いになるのだ。

「あっつい…。」

俺は仕方なく勉強道具を持っていつもの神社に来ていた。ここは扇風機やクーラーがなくても家より涼しい場所だからだ。

…ただし、涼しさは扇風機の方が上なためここは敗者の場所として使われている。

俺は軽く勉強し、家に戻る頃にはクーラーの使用条件が満たされていたのかクーラーがついていた。

「あれー?遅かったね。」

語尾を上げ明らかな挑発をしてくる弟。

「明日は…絶対に勝つ。」

俺は宣戦布告のように弟を指差し言い切った。


次の日。

夏休みは意外となにもすることがない。だからこそ弟とこんな無駄な争いをすることになるわけだが。

「今日はなにで対決するの?」

朝、起きた瞬間からもう臨戦態勢の弟。

そのやる気はもうちょい違うところに使えないのだろうか。いつも思う。

「なら今日は敗者にいつもより倍以上の苦痛を与えるゲームにしよう。」

「…それは一体。」

実際にこの後このゲームの敗者は地獄を見ることになる。


「…ほんとにやるの?」

弟が明らかに嫌そうな声をあげる。

「当たり前。ここまで来てやらないとか。」

目の前の道路にチョークで真っ直ぐ線を引く。…もちろん後で消したから。

「考案者の特権としてよーいドンは俺が言う。」

「…敗者の癖に。」

「なんか言ったか?」

そう言って睨みを効かせると首を左右に振った。最初から歯向かって来なければいいんだ。

さて、何をするかというと徒競走だ。

距離としては約50メートル。測ってないけどパッと見で。

これに負けると運動した熱さと夏の暑さによる二重苦を味わいながら敗者となる。

「あれ……兄さん……最近運動……。」

「……昔ならやってた。」

「……一応僕サッカー部だよ?」

「……位置について。」

「え?!ちょっとズルい!」

「よいドンっ!」

言葉を短縮し不意打ちをつき優位に立つ。これが兄だ。弟よ。

さて、この作戦が功を奏し……

「兄さん、お疲れ様でした。」

きれず負けました。サッカー部舐めたらあかん。

「……嘘だろ……。」

「兄さん、人としても身体能力でも負けたね。」

軽蔑した目で俺を見下す弟に言い返せない自分がいた。


2人はこの後もなんだかんだで夏を満喫するのでした。兄と弟の立場を変えながらね?


めでたしめでたし。

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