お前ら、どういう関係?
「おーい、智哉。早くボールを持ってこいよー。」
向こうから裕一の声が聞こえた。
「呼ばれたみたいだから戻るかな。」
「なら、わたしもついていくね。」
わたしは、裕一の友達の智哉くんと一緒に裕一の元へ向かった。
「遅いじゃねーか。なにやってた…、ってなんで!?」
「オッス♪ 久しぶり♪」
「有香、なんで智哉と一緒にいるんだ!?」
どうやら、わたしたちのツーショットにとても驚いてる様子だ。
「うーんとね。説明すると長くなるから、あとでいい?」
「長くなるからって…。てか、お前なんで学校の名札を付けてるのさ?」
やっぱり裕一も同じことを聞いてきた。
「今日、うちの小学校の出校日だったんだけど、出校日が終わってからそのままの格好で来たから、名札を付けっぱなしなの。」
「ふーん。だったら外せばいいじゃん。」
「だって、ここで外したら無くしそうだもん。」
「あっそ。」
「二人で会話中に悪いんだけど、これからどうする?」
申し訳なさそうに、智哉くんはわたしたちの会話に入ってきた。
「裕一、どうするの? まだ友達と遊ぶならわたし戻るけど。」
「お前らはどうする?」
裕一は、智哉くんともう一人の友達に聞き返した。
「オレはそろそろ帰るわ。塾の夏期講習に行くから。」
友達の一人がそう答えた。
「俺はまだ暇だから大丈夫だけど。」
一方、智哉くんはまだ大丈夫なようだ。
「それなら、智哉はおれの家に来るか? だったら、有香も遊べるだろうし。」
「ならそうしようかな。俺も、有香ちゃんにもっと話を聞きたいしね。」
「…えっ!? わたしの話!?」
急に名前を呼ばれてドキッとした。
「お前ら、本当にどういう関係だよ?」
ますます怪しい目で裕一は見てきた。
「だから、あとで説明するって。」
「わかったよ。」
「それじゃ、オレは帰るわ。」
友達の一人が夏期講習のために帰っていった。
「それじゃ、おれんちに行くか。」
こうして、わたしたちはおばあちゃんの家に戻ることになった。