あれっ、その名札…
おばあちゃんとの話も終わり、おじさん達にもあいさつをしようと思ったら、どうやら仕事でいないらしい。
いとこである裕一も姿が見えない。
すると、おばあちゃんが一言。
「裕一なら近くの公園で友達と遊んでるよ。」
それならちょっと様子でも見てこようかな。
「それじゃあ、ちょっと外に行ってきます。」
わたしはそう言って、近くの公園まで行ってみた。
公園まで行くと、確かに裕一とその友達らしき子が3人で遊んでた。
見た感じサッカーをやってるらしい。
すると、その集団の方からわたしの方向にサッカーボールが飛んできた。
わたしはサッカーボールを手で拾うと、一人の男子が近づいてきた。
裕一の友達の一人だ。
わたしより身長が高く、たぶん150センチ後半くらいの大きさだろうか。
「ボール拾ってくれてありがとう。」
「どういたしまして。」
彼にボールを渡すと、彼はいきなり…
「あれっ、その名札…。」
「えっ、あっ、これね。午前中に学校があったんだけど、近くのおばあちゃんの家に遊びに来たときに外すつもりが忘れちゃって…。」
「…上野山小のじゃん…。」
「……へっ!?」
わたしは一瞬、頭の中が真っ白になった。
今ここで初めて会った人の口から、いきなり上野山小の単語が出てくるなんて思ってもみなかったからだ。
とりあえず、もうちょっと話を聴いてみよう。
「どうして名札を見ただけで上野山小とわかったの?」
「オレ、去年まで上野山小に通ってたから。」
「だから名札を見ただけでわかったわけね。」
「そういうこと。ところで、滝野ってことは、もしかして裕一の親戚?」
「うん、裕一のいとこだよ。」
「へえ。でもまさか、前の学校の同級生とこんなところでばったり会うなんて、世間も狭いものだね。」
それはこちらのセリフでもある。