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夏の奇跡  作者: YUI
1/6

出校日

「あーあ。何で夏休みなのに出校日で学校に来ないといけないんだろ。」

夏休みが始まり、おもいっきり遊ぶ気満々でいたわたしにとって出校日は面倒臭い以外の何物でもなかった。

しかも、今日は朝から田舎のおばあちゃんの家に遊びに行く日なのに、出校日のせいで午後からに変更になったし、全然ついてないや。

「有香。早く学校に行かないと遅刻するぞ。」

お父さんの声だ。

えっと、提出するプリントをカバンに入れて、筆記用具も入れないと。

名札も付けたし、とりあえず出校日だけ片付けるか!


わたしの名前は、滝野有香たきのゆか11歳。

上野山うえのやま小学校5年3組。

わたしが4歳のときに病気でお母さんを亡くして、今はお父さんと二人暮らし。

お母さんのいない生活は淋しいけど、お父さんが男手一つで育ててくれたので、お父さんにはとっても感謝してる。


さて、学校に到着するとクラスメイトがちらほら。

夏休みが始まってまだ一週間しか経ってないのに、もう日焼けで真っ黒な男子の姿も。

いくらなんでも早すぎるだろうと思いつつも、内心は羨ましいなと思うわたし。


学校も終わり校門を出ると、そこには見慣れたクルマが。

うちのクルマだ。

すると、クルマの窓が開いて…

「有香。おばあちゃんの家に行くぞ。」

えっ、もう行くの?

てっきり荷物を家に置いてから行くと思ったのに、急だなお父さんは。

結局、学校の荷物を持ったままおばあちゃんの家に行くことに。


おばあちゃんの家は、クルマで約2時間の田舎町。

そこには、おばあちゃんの他におじさんと夫婦も住んでいて、その子供であるいとこがわたしと同い年。

だから、毎回おばあちゃんの家に遊びに行くと、ほとんどいとこと遊ぶことが多いわけ。

まあ、それが楽しみでおばあちゃんの家に遊びに行くんだけどね。


途中で昼飯を食べて、2時間半でおばあちゃんの家に到着。

「お邪魔しまーす。」

玄関のドアを開けると、おばあちゃんがやってきた。

「有香ちゃんいらっしゃい。待ってたよ。」

半年ぶりに見るおばあちゃんの顔。

元気でなによりだ、ってちょっと失礼かな。

「あれっ、有香ちゃん。学校の名札なんか付けてきて、まだ夏休み入ってなかったの?」

そういえば、出校日の用意そのままで来ちゃったから、学校の名札を付けたままだった。

言われるまで気付かなかったよ。


すると、おばあちゃんは学校の名札に興味を持ち始めたのか、わたしにいろいろ話を振ってきた。

「つい最近まで小さかったと思ったのに、名札を見たらもう5年生なんだね。大きくなったね。」

「もう2年したら、中学生になっちゃうや。」

「このバッジの委員長ってやつ、もしかして学級委員長?」

「うん。今回初めて選ばれたの。」

「大したもんだね。有香ちゃん優等生だね。」

「そんなことないよ。勉強ができる訳でもないし。」

「よし、その姿を写真に撮ろうか。」

「えっ、別に写真に撮るほどじゃ…」

「いいじゃないの。おばあちゃんにとっては、その姿もなかなか見れないんだから。」

「そうだけど…。なんか照れてきた…。」


まさか、学校の名札だけでここまで話題が膨らむなんて思ってなかったよ。

でも、なんか久々におばあちゃんと長く会話をした気もする。

まあ、これはこれでいいかな。

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