表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Folktale-side DARKER-  作者: シブ
第一部
2/74

第二章

 案内されるがまま、レイルは事務員の後ろを付いて行った。最初に案内された場所は、通路を挟んで隣接する図書館。そこには大陸各地から集められた書物が整然と並んでおり、蔵書は数十万冊にも及ぶ。その隣には資料室があり、各試験場に出るモンスターの生態や、戦闘に必要な情報が閲覧出来るようになっていた。

「ここが試験場と、訓練場のワープポイントになります。自分が入る事の出来る試験場、または対象となっている場所の名前を確認し、入ってください。細かい説明は省きますが、試験場はランク分けされているので、違う試験場で毎月の課題をクリアしたとしても、得点には加算されません。それに気づかないでいると、あっという間に落第、若しくは退学になってしまいますので」

 一度外へ出たレイル達は、学園の裏手に回っていた。魔法陣が描かれた部屋のある、小さな塔。試験場や訓練場に行く為の魔法陣で、学生はここから試験場と学園を行き来する。試験場のランクにはⅠからⅤまでがあり、Ⅰは新入生の育成、Ⅴは殆どの場合は高等部の卒業試験でしか使われる事が無い。それも、よほど成績優秀だった学生のみである。在学中にこの試験場で定例試験を行った生徒は創設以来、たった一人しかいないのだが……。

「あなたの学生証であれば、ランクⅡのホーネル山脈まで入る事が出来ます。毎月行われる試験の結果次第で、新しい場所に入る事が出来るようになるので、訓練は怠らないようにするといいでしょう。ここまでで質問はありますか?」

 レイルが首を振ると、事務員は説明を続けていった。

「試験場は各学科で定められた曜日にのみ、使用する事が出来ます。卒業前になると、予約制ではありますが、該当する学生には常時開放されています。一番手前にある、三種の訓練場は放課後でも利用出来るようになっているので、自由に使ってください。ただし、完全下校時刻となる夕方六時には閉鎖されますので、閉じ込められないようにしてくださいね?」

 かつて、時間を忘れて訓練をしていた二人が、学園の訓練場に閉じ込められるという事態が発生した。寮に帰ってこないという隣室の学生から通報があり、二人は出る事が出来たが……。あらゆる方面から、激しい説教が待ち構えていた事は、言う間でもない。

「重要な施設は、この位ですね。最後に、あなたの住む寮をご案内します。あなたの荷物も運ばれている頃でしょう」

 二人は学園の門の前まで行き、その手前を左へと曲がった。その先に、レイルが住む事になる寮が建っている。四階建てのマンションのような造りになっており、そこかしこに灯りの点いた部屋が見える。

「こちらが男子寮になります。部屋数は合計で二百、全て一人部屋です。必要となる家具は一通りありますが、個人的に必要な物はご自分で用意してください。では、ご案内します」

 レイルの部屋は、二階の一番奥にあった。名札が掛けられ、いつでも入居出来るよう手配されている。荷物も運びこまれており、開けられるのを待つかのように置かれていた。

「鍵は無くさないよう、しっかり保管してください。複製は出来ないようになっているので、無くされては後々問題になるので。門限は下校時刻と同様、六時となっています。学園の門が閉まるので、どのみち入る事は出来ませんが」

 要は、食事の買い物等はそれまでに済ませろ、という事のようだ。授業の終了が最も遅くて五時である以上、必然的に自炊が不可欠となる。おそらく、それが狙いなのだろうが……。

「女子寮はこの反対側にあります。行き来に制限は設けてありませんが、門限は同じです。外泊時は事務室に申請用紙があるので、それに記入してください。とまあ、主な施設はこれ位ですね。何か質問はありますか?」

 レイルが首を横に振ると、満足したかのように、部屋を出るよう促した。時計を見ると、二時間近い時間が経過している。それだけ学園の施設が広い、という事だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ