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第12話 純白と真紅の誘惑 奇々怪界

『日本の巫女さんのファッションって、よく見たらファミコンカラーだよな』


 マサムネの意味不明なあけましておめでとうメールに対して、はたしてどう返信したらいいものかと考えていたら就寝時間になってしまった。それに何度読み返してもあけましておめでとうという語句がかけらすら見つけられない。そもそもこれはあけましておめでとうメールなのか。


 マサムネは純粋なイギリス人だが、超のつく日本贔屓の父親の影響ですっかり日本にハマってしまった男だ。名前だってイギリス人のくせにゲームキャラにもなってる日本の武将から戴いたとか言っていた。それだけ日本人日本人してるんだから、1月1日に届いたこのメールもあけましておめでとうメールに違いない、と思うんだが。


 とりあえず寝る前に返信しておこう。でないとしつこい。しつこく巫女さんネタを立て続けに送りつけてくる。


『巫女って言えば、やっぱりお札をシューティングみたいに撃ちまくるのがいいよな』


 さて、寝る。本社への定時連絡も終わってるし、もうやることはゲームで遊ぶくらいしかない。月周回軌道までまだ七日間はかかる。毎日の規則正しい生活こそが良い宇宙船パイロットの必須条件だ。元旦くらいゲームも休むか。と、あっという間に返信がきた。


『シューティング? 巫女キャラと言えば本ストーリーからちょっと外れた趣味的攻略キャラだろ。だがサブストーリーこそシナリオライターの実力が問われる重要なポイントだ』


 ギャルゲーの話か。じゃあ返信しないでいい。そしてコクピットから居住区へ移動する短い時間にさらなる追撃メールが届いた。


『登場シーンも学校の教室とか普段の活動範囲と違って神社と言う特異なフィールドの持つ神秘性がキャラクターの造形に深みを与えていていいよな。白と赤の巫女のコスチューム以外にたまに見せる普段着のグラフィックが本来設定されてないはずのキャラクターのプライベートの趣向が垣間見えてまたグッとくる』


 ああ、もう。メール返信してもしなくてもしつこいならさっさと終わらせた方が寝付きが良さそうだ。


『僕の知ってる巫女の小夜ちゃんはそんなギャルゲーに出てくる女の子みたいに攻略できたりしないから知らねえよ』


 僕の巫女のイメージとマサムネの巫女のイメージの違いをさらっと指摘してみる。


『小夜ちゃんって、シューティングって、あっちの巫女の方か。うん、あれはあれでいいものだ。お札を撃って攻撃ってのがいかにも巫女っぽくていい。弾幕よけに赤い袴がヒラリと美しいのもグッとくる』


 弾幕よけ? 居住区の寝袋に潜り込んで、どうにも内容が噛み合わないメールを今度こそ終わらせるため僕の巫女さんのイメージ画像を送ってみる。


『巫女キャラでお札を撃って攻撃って言ったら奇々怪界の小夜ちゃんで決まりだろ』


『巫女キャラでお札を撃って攻撃って言ったら式神の城の小夜ちゃんに決まってんだろ』


 あー。そうですか。お互いの共通認識が成立して良かった良かった。でも心底どうでもいいのでもう寝る。


『巫女って小夜って名前じゃなければならないルールでもあるのか? 昔のアニメの巫女もそんな名前のキャラいたような?』


『あけましておめでとう』


『あ、今日は元旦か。そんなことより、巫女の小夜ってサヨとサヤと2タイプのパターンがあるようだが、日本人の名付け方法についての解釈を聞きたいんだが』


 知らねえよ。


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