3.正直者はすぐに口から出ちゃうんです。
鉄で出来ているだろう、大きく分厚い扉を抜け一番最初に目に入ったのは、全ての壁が原色で塗られた豪邸だった。
黄色や赤に緑、青など様々な色は鮮やかに豪邸の壁を飾っている。
これがシンプルな色で塗られたものだったなら素直に素敵なお宅ですねと褒められるが如何にせん目がチカチカして優しくない。
なんだってこんな色に塗ってしまったのだろうか、この街の陽気さがそうさせてしまったのか、これは造った本人に聞かなければ解らないだろう。
「…すごい色ねー」
思わずボソッと出てしまったララの言葉にロキが目線をやると自分の失態に気づいたらしく、ゴメンと手振りで合図した。
案内役である年若いメイドの耳には運良く届かなかったらしい。
しかし、ララの呟きには気付かなったメイドだったが、さすがに立ち止まった二人の様子には気付いた様で怪訝な顔でどうかなさいましたか?と聞かれた。
「いえ、なんでもありませんわ。ここに住んでいる方はとても素晴らしい趣味を為さってると話してましたの。」
これっぽっちもそんなことを思っていないララは、口から出任せを言う。
それに同調するようにロキも頷いたが、どうやらメイドの芸術センスはまともだったらしく眉を寄せ一拍置いて、そうでございましたかと言って前に向き直り豪邸に足を向けた。
上手く誤魔化せたわ!とロキにアイコンタクトを送ると親指をぐっと出してロキも応えてくれた。