1.暑さに弱いんです。
初めて小説を書きましたので、読みにくい所が多々あるかもしれませんが、良かったら暇潰しにどうぞ。
これでもかっ!というくらい澄み切った空から差し込む太陽の日射しは、心地良いを通り越して暑い。
いつもなら着心地が良く肌触りも気に入っている白い薄手のシンプルなワンピースは、今は汗ばんだ肌にひっついて不快である。
ついでに言うと、唯一の自慢である長く絹糸の様な白銀の髪も重いし、蒸れるしで、ワンピースとのダブルパンチでイライラの原因だ。
(あぁ〜、もおぉ〜……
イライラするっ! なんでこんなに暑いわけ?意味わかんない‼)
あまりの暑さにおかしくなりかけている可憐な少女は、不満たらたらである。
だから、この街に来たくなかったのだ。
やたら陽気な気候に陽気な住人たちは、一種の名物になっていて、朝から歌い踊り、酒を飲み交わす。
他の街の住人から見たら羨ましいことこの上ないだろが、一日もいれば飽きてくる。
アンタらはいつ働いてんの?と聞いてみたい。いや、働かなきゃ食べていけないんだから働いてるんだろうけど、思わず聞きたくなるくらいには遊んでいる。
暑さにめっぽう弱い少女は零れんばかりの金色の瞳を伏せて、今にも私倒れちゃいますよ?雰囲気を漂わせてトボトボと歩いていく。
「ねぇ〜…いつまで歩けばいいの?私もう限界なんだけど…」
かれこれ、同じ様な不満を十回は聞かされていた無表情が標準装備の背の高い少年は、珍しくうんざりした様子を見せ、ただ一言。
「もう少し。」
と、十回目も同じ言葉を返した。
律儀に返事をしつつも、黒い衣装を身に付けた少年も暑さにばてている様で心なしかフラフラしている。暫く道なりに進み、たまに一緒に踊ろうぜ!と誘ってくる酔っ払いをかわしながら歩みを進めていた少年が立ち止まる。
どうやら目的地に着いたらしい。
少年が足を止めたのにも気づかず歩いていた少女はそのまま少年の背中にボスンとぶつかる。
「着いたよ。ララ」
自分の背中というか腰あたりにひっいたままのララに声を掛けるが反応がない。
「どうかしたの?」
振り返って顔を覗いてみると鼻が赤くなっていた。
どうやらぶつかった拍子に鼻を打ったらしく、痛みに悶えていた様である。
「うー…なんでロキはそんな細身の癖に筋肉がついてるわけ?お陰で私の可愛い鼻が低くなっちゃうじゃないのよ…。」
「大丈夫。ララの鼻はいつも通り低めだけど可愛いよ。」
と褒めているんだか、貶しているのかよく分からない慰め方をされた。
無表情がかえって精巧に造られた人形の様だと褒められる美人さんなロキに言われると、何故か悪い気がしないのはララが単純なだけではないのだろう。
「じゃあ行くよ。ララ、準備は良い?」
「ええ、いつでもOKよ!」
そう言ったララの 雰囲気がガラッと変わる。
表情はふんわりと笑みを浮かべ、金色の瞳は慈愛に満ちている。
白銀の髪は太陽の光を浴び、天使の輪が本当に頭上に存在している様な錯覚を起こす。
きっとこの姿を見た人々は皆、言うだろう。
ああ、聖女さまが現れたのだと。