表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/26

第十話 信長と将軍の思想対決

安土城。


義昭一行が城門をくぐった瞬間──

光秀は思わず足を止めた。


巨大な石垣。

天へ伸びる天守。


武力と権力が、そのまま形になった城。


(この城そのものが……信長公だ)

(城ではない)

(これは、信長という意思だ)


藤孝が小声で言う。


「将軍様……お気をつけください」


義昭は静かに頷いた。


安土城の家臣たちはざわついていた。


「将軍が来たぞ……」

「本当に来たのか……」


勝家は不満げに腕を組む。


「将軍など……何をしに来た」


長秀は慎重に言う。


「信長様が呼ばれたのです。理由があるのでしょう」


秀吉は黙っていた。


(将軍様……本当に来た)

(逃げぬお方……信長様と同じ匂いがする)


広間。


信長が座していた。

その瞬間、広間の空気が変わる。


光秀は背筋が凍った。


(怪物……)


義昭は静かに信長を見た。


(革命家……)


二人の視線がぶつかる。


二人は、一歩も引かなかった。

それだけで、家臣たちは理解した。


この二人は──対等だ。


信長が口を開く。


「将軍」


「よく来た」


義昭は一歩も引かずに言った。


「呼ばれたからな」


広間の空気が揺れた。


信長が言う。


「将軍。天下をどう見る」


義昭は即答した。


「人が動かす」


信長は笑った。


「違う」


「力だ」


義昭は微動だにしない。


「違う」


「構造だ」


広間の空気が張り詰める。


光秀は震えた。


(信長公は……世界を壊す者)

(将軍様は……世界を書き換える者)


二人は同じ未来を見ている。

だが、方法が違う。


だからこそ──ぶつかる。


信長は笑った。


「面白い」


その一言で、広間の空気が緩んだ。


秀吉だけが、静かに頷いた。


(やはり……この将軍様は危険だ)


信長が言った。


「将軍」

「天下を取りたいか」


義昭は首を振った。


「違う」


「天下を動かす」


信長の目が細くなる。

そして──笑った。


「ならば」


「戦だな」


光秀は息を呑んだ。


これは刀の戦ではない。

軍の戦でもない。


思想と未来を賭けた、怪物同士の戦い。


戦国の歴史が──

この瞬間、初めて音を立てて軋んだ。

信長と将軍、最初の思想対決でした。


ここからは「誰が強いか」ではなく、

「誰が天下の形を決めるのか」という戦いに入っていきます。


次話から、信長側の反応が本格的に始まります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ