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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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男と彼女と彼氏シリーズ

男のこれからと彼女と彼

作者: 阿井 亜斗
掲載日:2026/02/15

「彼女と彼氏と男と将来」続き。

最後。

「元気~?」

 春の浜辺に男が訪れた。


 本日は休日。

 春でまだ肌寒いが夫と子どもともに、散歩のために海辺にきてみたのだ。


「げ~き~!」

「あはは!元気そうだね~。」


 男が子どもを抱き上げながらに挨拶をする。

 来るたびに遊んでくれる子どもはこの男のことに慣れ、大好きなのだ。


「お前、この頃よく来てくれるが大丈夫か?奥さんに嫌がられるんじゃ・・・。」

「いつも、快く送り出してくれるよ。子どもは『僕も行きたい!』とは言うんだけど、なかなか難しいかな。」


 奥さんの地位が高くて、気軽に出かけられないのだろう。


「子どもも君たちに会ってみたいだしね。あげたマフラー大切にしているみたい。」

「それはうれしいわ」


 日本では家族仲が悪かったため、結婚し家族ができたのは本当によかったなと思う。

 更に子どもができてから、男は落ち着いた気がする。

 やはり子どもは偉大だ。

 こいつの中での優先順位は、今は子どもが一番だろう。


「君たちは子どもより優先順位高いから。」

「子どもを大切にしろ。」


 心中を読んだかのように男が言ってきたので、夫が男に突っ込んだ。


「子どもに言ったら『確かに。』って納得してた。」


 子どもよ、父親が母親や自分ではなく友人夫婦を優先してたらショックを受けてくれ。

 納得しちゃだめだ。


「家族仲いいから大丈夫だよ!子どもにも友人関係大事にしなさいって教えてる。」


 友達は大切にした方がいいが、家族とは別だろう。


「奥さんも俺たちよりも友人優先するよ。」


 心中をよむな。

 子どもが可哀そうすぎる。


「義兄がその代わり子どもを溺愛してるよ。慈愛の心は誰よりもあるから。」


 以前聞いた、ハイエナと熊のハイブリッドの容貌だというが想像できず、想像上モザイクがかかっていた義兄の顔からモザイクが薄れて気がした。

 その顔はやさしい・・・、


「義兄この前血塗れの状態で会って、ケガしたのかと手当しようとしたら『全部返り血だから。わざわざ医者の君の手を煩わせることはないよ。』って言われたんだよね。医者からしたそんな心配しないでほしいよ。」


 なんだ、そのどこかの漫画のかっこいい強者のようなセリフは。

 シュッと、義兄にまたモザイクがかかり顔がみれなくなった。

 モザイクを貫通して、血まみれの姿が足された気がした。


 ・・・いや、そんなことよりも。


「・・・医者?」


 夫と私は声をそろえた。


「いしゃ~。」


 子どもが笑顔で追撃した。



「そうだね~。俺はお医者さんなんだよ~。」



 抱っこしている子どもに笑顔で伝える。



「・・・いつ医者になったの?」

「テロリストの時色々あって、医者になりたな~と思っていたんだよ。で、亡命直後は時間ができるし、ツテ相手に医者になりたいことを相談したら、授業料は気にしなくていいって言ってくれてね。お金もないときだったし、ありがたく頼らせてもらったよ。結婚とか子育てとか当主とかの合間をぬって、医者になったんだよね。」


 頭は異常によかった男だから医者になることが可能だったのだろう。


「君の出産のときの担当医になりたかったけど、奥さんにこき使われてたときだから、担当できなかったのだけが医者としての心残りになりそう。」

「奥さんありがとう。」


 思わず声にだして、奥さんに感謝の言葉を述べた。

 流石に、医者とはいえ友達の前で出産はハードル高い。


「君と出産の立ち合いを一緒にして、子どもを取り上げたかったよ・・・」

「そんなことになったら、お前を殴るかもしれないからやめろ。」



 いつも悟りを開いた顔をしている夫が、さすがに渋面をつくっていた。


「ごめんね。したいけど、しないよ。」


 しないという言葉は信用できるため、許してやった。

 キモイが。


「しちゃ、だめだよ~。」

「そうだね、気を付けるよ。」

 子どもからたしなめられたため、男は笑顔で答えた。


「医者になったのはさすがだな。このまま奥さんの家の主治医になるのか?」

「国境なき医師団になるよ~。」



 ・・・。


「国境なき医師団!」



 国境なき医師団とは、世界最大の国際的緊急医療団体であり全ての人が医療を受ける権利があり、また医療の必要性は、国境よりも重要だという信念に基づきつくられた団体である。

(Wikipedia調べ)


「高校卒業したときに海外まわったり、いろいろな立場になってたじゃん。その時に、医者の人と知り合う機会があってね。その人と話しているうちに、医者になろうかなと思ってね。」


 流されて生きていた男にとっては、重大な決意だったと思う。


「奥さんと子どもはどうするの?」

「奥さんには前から話していたから納得してくれてる。子どもにも話してる。泣かれたけど、最後には納得・・・してくれたと信じてる。」


 子どもの話をするときは、顔に申し訳なさがでていた。


「日本にきたのは君たちに挨拶したかったから。本当に長い間あえなくなるし、もしかしたら2度と会えなくなるかもしれないから。」


 ライフスタイルの段階が変わったのだ。

 そのため、長い付き合いでもふとした瞬間に2度と会えなくなるのはよくあることだ。


 男の上着から、結婚祝いに渡したハンカチがでてきた。


「行くときはこれだけは持っていこうと思っているんだ。」

「・・・それだけじゃ寂しいだろうから、これも貸してあげる。」


 カバンにつけていたものを外し、渡した。


「・・・電気ネズミのキーホルダー?」

「それ、貸してあげるだけだよ。返しに戻ってきてね。」


 子どもが飽きたため、愛着を感じて私がカバンにつけていたのだ。

 もしかしたら帰ってこないかもしれない。

 それでもいい。

 重石はいくらあってもいい場合も、あるだの。



「わかった。ありがとう。」



 きれいな顔をして、男はわらった。


「戻ってくるよ。教団も解散したり、ご神体を回収しないといけないし。」




 ・・・変な間が流れた。



 まだ、あったんかいその教団!

 ご神体って何を祀っているだ?


 驚きと疑問とその他もろもろの感情がでてきた。


 そんな中、夫が彼に近づき男から空気を読んで大人しくしていた子どもを抱き上げ、私に預けた後、男と一緒に少し離れた。


「まだあったのかその教団。ご神体はやめろと言っただろう。いや、その前に解散はしてから旅立ってくれ。」

「えー、何かあった場合便利だから残しておこうと思ったのに。」

「いや、色々落ちついてから大分経っているだろう。問題ないから、解散してくれ。」

「・・・わかったよ。」

「よし。」


 あまりよく聞こえないが、旅立つ前の解散は決まったようだ。


「それで、ご神体はなんだ?」

「ご神体は、ウェディングドレスとタクシードだよ。写真とかじゃないしいいかなと思って。」

「いや、キモイ。」

「解散するから、回収するよ。彼らにも君たちに近づくなよと、せんの・・・お願いはするから。」

「それならいいが、ウェディングドレスとタクシードどうするんだ?」

「ほしい?」

「プレゼントしてもらって申し訳ないが、いらない。ご神体として使われたものは怖くて引き取りたくはない。」

「わかった。奥さんに頼んで、こちらで保管しておくよ。」


 色々な気持ちが沸きあがってきた顔を夫がしたあと、悟りを開いたようだった。


「・・・残すのか・・・まぁ、迷惑じゃないしいいか。」

「わー、ありがとう!」



 折れた気配を夫から感じた。



 夫と男が戻ってきた。

 会話は所々聞こえていたが、聞こえなかったことにした。


「じゃあ、三人ともじゃあね。」

「バイバーイ!」


 そして、男は去って行った。


 男とはまた会う機会は会うのだろうか?

 今までと違ってやることができたのだ。

 夢中になるものができたのだ。


 これで、会えなくなってもあんな男がいたなという思い出になり、いつか優しい記憶になっていくのだろう。


 ブーブー。


 スマホのバイブが震えた。


「思い出にさせないからね☆」


 どっかの某銀髪キャラみたいなことを、画面には書いてあった。


 私は見なかったことにした。

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