第13話 巣の防衛戦
数日も経たないうちに、俺たちの巣が形になってきていた。
「クロ様、ここは迎撃路にしました!通路を細くして、敵が一列にならざるを得ないように!」
さらに、ミニアは壁面を軽く叩き、響きを確かめる。その声には自信が満ちていた。
「ここには、罠を設置しています!そして、ここはもしもの際の逃走経路……ふふっ、完璧です!」
(本当にすごいな、ミニア……文句の付けようがない……)
巣(城)の中は、洞窟だった頃とはまるで別物だった。
細い通路はすべて整備され、強化壁が並ぶ。その壁には、紅蓮魔術を施した明かりがほの暗く光る。
(俺たちだけの拠点……。こういう安定感、初めてだな……)
そんな感慨に浸っていた時だった。
ミニアが突然、ぴたりと足を止めた。その紅い複合魔瞳が、離れた入口の方向を鋭くにらむ。
「……クロ様、来ます。複数……9、10体……いえ、もっと……!」
「敵か?」
「間違いありません。匂いの乱れ、呼気の荒れ方、完全に興奮状態です。」
(荒野の魔物が俺たちの巣を嗅ぎつけたのか……)
「数は?」
「少なくとも20以上……!
「とりあえず、迎撃するぞ。」
「はい!」
***
ズシッ、ズシッ――!
地鳴りのような音が入口側から響く。
重い足音、鋭い爪で岩を削る音、低いうなり声。
やがて、その姿が薄暗い入り口に現れた。
「グルルルル……ッ!」
「ギャアアアッ!」
スライム、オオカミ、キツネ、トカゲ、ゴブリン、オーク、コボルト……
この荒野に生きる魔物たちが、続々と牙を剥きながら侵入してくる。
ミニアは静かに俺の横に立った。
「クロ様、いかがしましょうか?」
「この巣や俺たちに危害を加えようとしているのは、一目瞭然。もちろん、討伐だ。」
「はい、クロ様……!」
先頭の中型魔物の先頭が、唸りながら突進してくる。
しかし次の瞬間――
「「「ガッ!?」」」「「「ギッ!?」」」
ミニアが巣の入り口に仕掛けていたトラップ、魔力吸収罠に触れた魔物たちがバランスを崩し、次々と転倒していく。
「ミニアの罠、早速大活躍だな。」
「えへへ……褒められると嬉しいです、クロ様!」
(えっ、何その表情、可愛いな、おい……。)
気を取り直し、俺は転倒している魔物たちに向けて……
「――腐れ、瘴滅液。」
両手からドロっとした紫紺の液体を浴びせた。
「「「「「「ギャアアアアッ!!」」」」」」
皮膚が一瞬にして腐り、そのまま肉まで溶けていく。
(……腐蝕魔術、マジで容赦ないな)
その後も、俺は腐蝕魔術や猛毒魔術で、次々に魔物たちを葬り去る。
だが、まだ終わりではない。その奥から大型の魔物が何体も現れた。
かつて、あの死体の山で見たオーガやリザードマンのようだ。
「「グルルルルル……ッ!!」」「「ギャアアラララ……ッ!!」」
俺の横で、魔物たちを紅刃の斬撃でバラバラにしまくっているミニアが叫ぶ。
「クロ様、大型の魔物が来ます……!」
「あぁ、任せろ。」
(……よし、まだ使っていないアレを試すか。)
オーガが飛びかかるように突進した。通路が揺れる。天井がきしむ。
だが俺は、大きな一歩を踏み出した。
「―――止まれ」
「……ッガ、ガ……」「ギッ……!」
俺の声とともに、ドス黒い魔力が周囲の空気を大きく震わせた。
相手を圧倒的な魔力で威圧し、支配する【蠅王威圧】。
その瞬間、眼前のオーガやリザードマンだけでなく、侵入してきた他の魔物たちもその場で硬直した。
そして、一匹残らず視線を逸らし、激しくブルブルと震え、頭を垂れた。
(威圧って、ここまで効くのか……)
その様子を見て、ミニアが恍惚の表情を浮かべながら言った。
「す、すごい……、クロ様の威圧……!まさに、王の素質です……!」
「王様になるつもりなんてないけどな。……よし、これなら、楽に終われる。」
俺はすっと右手をかざす。
「――蠱蠅毒」
俺の手から放たれた猛毒が魔物たちを一斉に襲う。
そして―――苦しみもだえながら、残っていた全ての魔物は息絶えた。
【経験値+200】
【魔力吸収:成功】
***
静寂。ミニアが俺を見つめる。
「ク、クロ様、すごすぎます……!」
「そうか、ありがとう。けど、ミニアも十分すごいぞ。この巣だって、ミニアがほとんど作ったんだからな。こうして全滅させられたのも、ミニアのおかげだ。ありがとう。」
「ク、クロ様……!ありがたいお言葉、感謝いたします。…………えへへ。」
ミニアは胸に手をあて、深く頭を下げた。そして、その表情には、嬉しさが滲み出ていた。
(あのときの小さな蟻が、まさかここまで成長するとは……。)
「よし、ミニア。ここから本格的に、この巣を俺たちの城にするぞ!」
「はいっ、クロ様……!!」
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