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13. 神格承認式 〜誰が神になれと言った!?〜

 ――聖都アーク=エデリア、評議庁大広間。


 《静寂の環》を超えて“語り”を発動したクロウは、

 全ての者の前で“語りの力”を示した。


 


 その瞬間、空気が変わった。


 人々の目が変わった。


 そして世界が、クロウに“神としての資格”を与え始めていた。


 


「クロウ・エグザイル=オルター。貴殿の語りは、世界を動かし、認識を改変した」

「もはや否定の余地なし。これより、神格者としての承認を執り行う」


 


 ――神格承認式。それは、この世界の宗教体系における、最大の“公式認定”だった。


 


(ちょっ、待って!? 俺そんなの望んでないよ!?)


(やばいやばいやばい!! 正式に神扱いされたら……もう逃げられなくなるッ!?)


 


 デルフィアが厳粛な口調で言う。


「ご安心を。これは“ただの形式”にすぎません」


「いや、絶対形式じゃ済まないやつでしょこの雰囲気ッ!!」


 



 


 式場は既に整えられていた。

 白銀の祭壇、聖都評議会の証人、そして各国からの観察官まで集まりつつある。


 


 その中に、異様な空気をまとった男がひとり。

 黒いフードに、白い仮面。視線を合わせた瞬間、心が凍るような違和感。


 


 デルフィアがクロウに耳打ちする。


「……“対話不能”の監視者です。“真なる神話”が現れたときのみ、出現するとされる存在」


 


「ちょっと!? 何その“ラストダンジョンの隠しボス”みたいな存在!?」


 


 そして、式は粛々と進められようとしていた。


 審問官が宣言する。


 


「今ここに、“語りの主”クロウ・エグザイル=オルターを神格者候補として登録する」


 


「彼が“世界に名を刻まれる存在”であることを示す儀礼――

 すなわち、“語りの証印ルーン”の付与を行う」


 


 すると、空中に光が浮かび、文様が現れる。

 “世界律”と呼ばれる、神格者しか刻めない言葉の結晶だ。


 


 その“証印”が、クロウの胸元に向かって、ゆっくりと――


 


「――待ったァァァァァァ!!」


 


 クロウが叫んだ。


 


「俺、神になるとかマジで無理だから!!」

「ただの妄想でここまで来ただけで、全然計画してないし、そもそも現実逃避で語ってただけなんだって!!」


 


 一同、凍りつく。


 デルフィアがぽつり。


「……まさかこの場で全力の自己否定とは……!」


 


 だが、その瞬間。

 空に浮かんだ“証印”が、ゆっくりと揺れ、形を変えた。


 


 “強制的な神格”ではなく、

 “自覚なき語り部”という、新たなカテゴリが世界律に登録される。


 


 セレナ導師が呟いた。


「……語られるべき存在は、“自らを語らない”。それすらもまた、神格の一つなのか」


 


 最終的に、クロウの神格は――


 【語られぬ者/無意識の創世者アンノウン・クリエイター


 として、限定承認された。


 


 デルフィアは満足そうに頷く。


「……これで、クロウ様は完全に神話の中に“入りました”。

 公式に、世界のルール側になったのです」


 


「やだあああああああああああああああ!!!」

「もう普通の生活できないじゃんコレぇぇぇぇぇ!!!」

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