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3つ目

 校舎を背にして朗読をしていた。

「やがて巳之助(ミノスケ)はかがんで、足もとから石ころを一つ拾った。そして、いちばん大きくともっているランプにねらいを定めて、力いっぱい投げた。」

 右に本を持ち、左で石ころを投げる仕草をする。足もとへボールが転がって来る。それを野球部員に投げる。練習が中断し、注目されてしまう。あ、しまった・・・


   *


 野球部員に取り囲まれる。

「沚水、左投げだったか。いいね、今の。外野か? ピッチャーか?」

「練習試合でしか投げてませんが、ピッチャーです」

「今すぐ入れ」

「はい、着替えて来ます!!」


   *


 部屋で体操服に着替え、グラヴを2つ持って戻った。

「なんだ、どっちも出来るのか?」

「左用と右用です」

「は?」

「両投げ両打ちです」

「投げてみろ」

 ブルペンへ連れて行かれ、どっちも投げてみせる。

「7月までには仕上げる。グラブは新しく作るか。手を合わせてみろ」

「こうですか?」

「飯の時間にはまだ早いな。手の甲に掌を載せてみろ。これが6本指グラブ。どっちでも使える。南海の近田投手と同じやつだ」

「パ・リーグは全然わからなくて」

「今年のルーキー。先週投げてた」

 こっちのテレビでは放送されない。大阪のラジオを聴けばいいのか。

「うちは照明もあるし、7月までには十分間に合うから」

 あ、そういう意味か・・・



----

世界文化社「100年読み継がれる名作 新美南吉童話集」第84頁より引用(新美南吉作「おじいさんのランプ」)

右で本を持って左で捲っております。

落語原作の朗読では扇子を左で持ちます。

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