永遠の幸せ
暖かな春の日差しと、まだほんの少しだけ冷たい風を感じながら迎えたその日
「お姫さん、卒業おめでとう」
私は高校生ではなくなった。
「……ありがとう」
校舎から出て一番に「おめでとう」と言ってくれた深也さんの姿にほっと胸を撫で下ろした。忙しいから行けないかもしれないと言われていて、来られるかはギリギリまで分からなかったからだ。
自然と手を繋ぎ、二人並んで歩き出した。風に揺られた桜の木から、花びらがひらひらと舞い落ち、淡いピンク色に包まれながら、肩を並べて歩く深也さんを見つめた。
「深也さん、仕事は大丈夫なの?」
「平気だよ。昨日全部終わらせたから」
いつもよりずっと爽やかな笑顔で微笑む深也さんの表情に頬が熱くなるのを感じながら
「そうなんだ。……ありがとう」
頑張ってくれた深也さんへの感謝を口にした。
「ふふ。当然だよ。お姫さんのためなら、俺はなんだってするよ」
そう言って深也さんは私の頭を優しく撫でた。
「……! 私も…深也さんのためにできること、なんでも…したい」
向かい合った深也さんをじっと見つめてそう言うと
「お姫さんはもう十分してくれているよ。俺のことを知ろうとしてくれて、料理も勉強してくれた。何より…俺のそばにいてくれる。それだけで俺は幸せだよ」
慈しむような笑顔を向けられ、何度も何度も優しく頭を撫でられ、深也さんから向けられた温かい気持ちが胸に広がった。
「…!深也さん……」
「だから――」
優しい手はそっと降りてきて、私の頬に添えられる。
「未来永劫君の隣にいさせて?」
目を細めて微笑む深也さんは、私の頬を撫でながら言葉を続ける。
「お姫さん。俺と結婚しようか」
「───────!」
『この先の未来でもっと君に触れて、たくさん甘やかして、愛してもいい?』
あの時、寂しかった気持ちを一瞬で埋めてくれた言葉の中にあった未来という二文字。
その言葉の意味がすぐ近くまで近づいていることに私の鼓動は高鳴っていく。もう答えは決まっている。
「深也さん……末永くよろしくお願いします───」
頬に添えられた手を握って、深也さんへの大好きをぎゅっと詰め込んでにっこりと微笑みかけた。
一瞬だけ目を見開いた深也さんは、すぐに笑顔を見せ、私を抱きしめた。深也さんの吐息が耳にかかり
「愛してるよ。お姫さん」
囁くように伝えられたなによりも嬉しい言葉。それに返す言葉は一つだけ。
「私も愛してる。深也」
全身で彼に想いが伝わるように。そして何よりも…この時間が永遠になりますように───────そう願いを込めて、私も深也さんを抱きしめた。
大丈夫──────きっとこの時間は永遠だから。
美しく、可憐で儚い小さな花が俺のそばで満開に咲いて、小さな体で力いっぱいに抱きしめてくれる。お姫さんの笑顔を見ていると、嬉しくて胸がいっぱいになる。あぁ…ようやく、君を沢山愛せる。我慢も遠慮も全部捨てて、沢山愛して甘やかして、絶対に君から離れない。人生をかけて幸せにすると誓ったから。何があっても、たとえ命が尽きたとしても君を守り続ける。大丈夫だよ、この時間は永遠に続く。
君が俺の手を取ってくれたあの日から、毎日幸せなんだ。君にもそう思ってほしいから、俺の全てでお姫さんを幸せにするよ。
二人だけの永遠の幸せを、一緒に歩んで行こうね───────お姫さん。




