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雨の日
……雨、ですね。
静かな病室で、雨音を聴く。わたし、ひとり、この音を独占していいものかと、心のどこかで思った。だが、聴かせる相手がいない。
この病室は、わたしひとり――
わたし、だけが、独占しているのだ。
ふと、喉が渇いた。
ベッド横の備え付けの冷蔵庫から、水を取り出し、喉を潤す。そして、窓の外に目を向けた。
雨、ですね。
こんな夜は、ちょっと心が浮き足立つ。不思議ですね。
さっきまで、ユーチューブを見ていた。オススメされるのは、わたしの興味がないものばかり、つまらない、そっと、目を閉じた。
すると、聞こえた、雨音が。
しばし、耳をすませる。
ぽたぽた、と。いろんな音色を奏でている。
……はあ。心が安らぐ。こんな夜も、悪くないわね。
窓を開けると、黒髪がなびく、夜風が気持ちいい。
あまり無理をするなと、医者に止められているのだが……。そんなの知らない。
だって、わたしは……。
今、を生きているんだから。