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ほんと世の中クソなことばかりだ。
外に出れば、盛りまくったリア充どもが、イルミネーションを見れば綺麗だなって、
両手なんか繋いじゃって、
はん! 今手を繋いでいる男の方は、きっとトイレしたあと手を洗わず、ベタベタと彼女の手を触っているに違いない。
幸せか? ああ、幸せだとも!
だって今日は、12月24日、クリスマスイブだからな。
なのに、私ときたら、世間を呪う言葉しか出てこない。
生まれて25年と3ヶ月、今まで彼氏の一人もできたことがない。
私のことを世間では、喪女と呼ぶらしい。いや、そんなことない、私は、そう、箱入り娘だ。
そっちの方が、世間体でも聞こえがいい。
何見えんだ、こら!
すれ違ったカップルを睨みつけた。
「あなたに、幸せをお届けします」
「は、え、誰?」
突然のことだ、目の前にシスターの格好をした子供が、私に向かってティシュを差し出した。
「あなたは神を信じますか?」
シスターは微笑む。
「神? そんなのいるわけないでしょ?」
「神はいつも、天から見守って下さっています」
私は、まだ世間をしならい、このシスターもどきのガキに、少し意地悪してやりたくなった。
「神様なんて、いないし、サンタもいない、全部誰かが創った空想だ。宗教の勧誘なんかしてないで、ちゃんと学校に行って勉強しな」
「神を信じないのですか?」
「私は、自分の目で見たものしか、信じないから」
「信じる者は救われる、信じなければ、苦行の道が続く。あなたは、どっちらの道に進みますか?」
ハッとする。気がつくと、シスターの姿はどこにもなかった。
どっちって、それは――