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第60話 宰相直属部隊

「ずいぶんと威勢がいいですな、知事殿? そういう女嫌いじゃないぜ」

「ふん、少しくらい痛めつけてやる方がいいのでは? 船長殿?」

「港湾部長殿はずいぶんとこの女に恨みがあるようですな。10分だけ時間をあげますから、恨みを晴らしてきてもいいですぞ。ただし……」

「わかっています。依頼主に身柄を渡す前にそんなへまは致しません」


 まるで獲物を見るような下品な顔だった。


「こんなことを起こしてあなたたちは逃げられると思っているの?」


「我々は書類上はここで死にます、知事閣下。そして、別の人間になってあなたを売った懸賞金で遊んで暮らします」

 元部長はそう言う。


「俺たちも海賊生活に疲れていてな。そんな時、あんな大物にこういう話をいただいた。いい話だろう? 今までの罪がすべてチャラになるんだ」

 船長は笑う。


「そんなことであなたたちの罪は許されない。いずれ報いを受ける」


「ふん、減らず口を……殴られれば少しは大人しくなりますかな?」

 そう言って元部長は拳を突き出す。


 でも、私が仕掛けていたトラップがそこで炸裂した。

 自衛のために仕掛けておいた弓矢のトラップが男の肩に突き刺さった。


「ぎゃあああぁぁぁっぁああああああ」

 

 逃げなきゃ。


 私は庁舎の上の階に逃げる。助けが来るまで庁舎に仕込んだ簡易トラップで時間を稼ぐ。


「おい、ルーナが逃げるぞ、追え、追え」


「あの女ぁ、捕まえろ。死ねないことを後悔させてやる」


「トラップがあるはずだ。それだけは注意しろ!!」

 海賊たちは怒り狂っていた。


 私は必死に走った。


 職員の人たちが仕掛けてくれたトラップの場所を避けながら4階にある知事室を目指す。


 小型の魔力地雷が爆発する音がした。これで少しでも足止めになるはずよ。私が女だから海賊団は油断していた。一矢報いるためにできる時間で最大限の仕掛けを施している。


 油断しているからトラップの存在に気付かずにぺらぺらと話して時間を稼がせてもらった。


 准将の話ではあと10分程度で救援部隊が来るはず。

 だからそれまでの辛抱。


 私は階段を駆け上がった。


 ※


―バルセロク地方上空―


「訓練でやっていたが魔力で空を飛ぶというのは不思議だな。魔力増強装備とは本当に便利なものだ。デルタ1より各機へ。我らはこのままバルセロク地方庁にいるルーナ=グレイシア知事を救出する。海賊団が襲撃していると報告があるため邪魔する者は即刻排除してかまわない。我々の初陣だが、諸君は各部隊から選抜された精鋭だ。奮闘に期待する」


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