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第59話 迫る敵

 職員の人たちが私のためにバリケードを作ってくれた。

 机といすが積みあがっている。

 彼らが庁舎からでて私が最後に仕上げをした。


 これで少しは時間が稼げるはず。


 おそらくシッド准将の策には準備に時間がかかるはず。だから、私のほうでも時間を稼がなくちゃいけないわ。


 職員の人たちは無事に中央病院に避難できたらいいんだけど。


 市内に着弾する敵の攻撃も減ってきている。うまく海賊船は倒しているということね。


 あとは市内に潜り込んだ残党と海面にいる海賊の排除だけ。


 ここを守り切れば私たちの勝ちよ。


 あとはみんなを信じるだけ。


 ※


『ここだ。ここにルーナがいるぞ。野郎ども覚悟はいいか』

『おー!!』


『なんだあかないぞ』

『中にバリケードがあるみたいだ』

『こじあけろ。これだけ厳重な防備だ。中に女がいるのは確実だ』


 ※


 外では大声が聞こえた。ついにここまでたどり着いたのね。賊たちが……

 緊張によって胸が高鳴る。胃が痛い。


 怖くないといえばウソになる。それも相手は多数いるはず。いくら魔力の心得があるからと言って武装している集団に私が勝てるはずがない。


 でも、私は知事よ。みんなのことを信用してここで待つしかない。


『どけ。俺が魔力で扉ごと吹き飛ばしてやる』


 誰かがそういうとまるで爆発したかのようにバリケードが吹き込んだ。やっぱり時間稼ぎにしかならなかったわね。


 私はホールで彼らに挨拶をする。


「よく来たわね、グラン海賊団」


「ルーナ=グレイシア知事閣下だとお見受けしますが?」


「ええ、そうよ。あなたは、海賊団船長のグラン=イェールね?」


「おぼえていらっしゃって光栄です、閣下。おい、あいつを呼べ。影武者かどうか確認するんだ」


「あいつ?」


「あなたもよくご存じの人間ですよ」


 そう言うと初老の男が海賊団に連れられてやってくる。

 私が解任した前・港湾部長だった。親しげに海賊たちと話している。


「港湾部長、まさかそこまで落ちていたんですね。あなたが取り締まるべき相手と癒着ゆちゃくしていたのですね」


「ああそうだよ。だが、お前がいけないのだよ。私を解任したことで地方庁は海賊たちの手綱を失ったのだからな。この女は間違いないルーナ=グレイシアだ。さあ、早く殺してしまえ」


「おいおい部長さん。それはできねぇよ。俺たちは依頼主にこいつを生きて引き渡さなくちゃいけないんだ。だから、お楽しみはこれからだ」


 ずいぶんとゲスな笑い方ね。でも確信は当たっていたわね。


「いいわ。早くクルム王子かコルテス家のところに連れていきなさい。誰が依頼主かなんてわかっているんだから」


 グランと港湾部長は私に向けて嘲笑したような顔で答えた。


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