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第53話 海賊

 秘書課長の並々ならぬ様子に私たちは緊急事態が起きたことを悟る。


「なにがあったんですか?」


「バルセロナ湾沿岸警備隊から連絡がありました。沿岸を守る警備艇が何者かによって撃沈された模様です。明確な敵対勢力からの攻撃だとみられます。このままでは警備艇を攻撃した何者かがバルセロク市に襲来するまであと2時間程度かと……警備行動が必要です」


「「「なっ!?」」」


 我々3人は衝撃を受ける。


「警備艇を攻撃なんて、バルセロク地方だけじゃなくイブール王国への明確な宣戦布告よ。そんなことをする勢力なんてどこにいるの? 思い当たる勢力はどこ? 敵国の海軍の奇襲なの?」


「おそらく正規軍ではないと思います。中央からは警告すら出ていませんから……」


 ロヨラ前知事が口を開いた。


「ということはテロ組織か海賊か。近くの海域を縄張りにする勢力は……おそらく、グラン海賊団の可能性が高いな。この一帯の中でも最も危険な存在だ。海賊でありながら小国に匹敵する戦力を持っている。まずいな」


「秘書課長。ただちに、イブール王国の第3艦隊に連絡を入れて救援要請をしてください。それから都市計画局を主導に住民の人たちの避難誘導を……私に指揮権限があるバルセロク地方兵団の将軍もこちらに呼び寄せてください」


 イブール王国の知事には少数だけど独自に動かせる軍隊があるわ。装備や人員は正規軍に劣るけど災害救助など緊急事態のためにこちらに指揮権があるのよ。


 あの大災害の時も、お父様は地方兵団を駆使してなんとか被害を最小限に抑えるために奮闘していたもの……


 まさか、知事になって1週間でこんな危機に直面するなんて……


 致し方ないわ。みんなのために覚悟を固めましょう。


「ロヨラさん、申し訳ございません。こんな緊急事態ですので、どうかあなたの経験と知識をお貸しいただけないでしょうか?」


 ロヨラ前知事がこちらに来ていて助かった。彼は知事を何期も務めたベテランよ。この地方の制度や地理には最も詳しい人だから……


「非常事態ですからね。私でよければ喜んで力になりましょう」


「助かります。それでは現在庁舎内にいる幹部をみんな集めてください。会議場所は……」


 私が言い淀んでいると……ロヨラ前知事が助け舟を出してくれる。


「地下の緊急会議室がいいでしょう。あそこは災害などに備えて頑丈に作られていますし、魔力通信システムも充実しています」


「ありがとうございます。ではそこにみんなを集めてください。ただし、都市計画局は避難誘導を第一に」


「わかりました。ただちに手配します」


 敵の襲来まであと2時間。




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