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第39話 メインディッシュ

 タラのローストも堪能し、いよいよデザートの時間になった。

 デザート!!


 素敵な響きね。

 貴族時代はお菓子が大好きだった私だけどさすがに村では貴重品よ。普通に買うと高すぎるわ。


 サツマイモやハチミツはたまにおすそ分けされることもあったけど砂糖は高級品。イブール王国ではほとんどとれないから輸入に頼っているせいもあるわね。


 だからこういうレストランのコース料理で出される美しいお菓子は夢にまで出るくらい体が求めている。


「こちらがデザートのフランクフルタークランツです」


 とても美しいデザートが運ばれてきたわ。


 まるで真っ白な花輪リースみたいなケーキね。これ、知っているわ。ヴォルフスブルクの有名なお菓子だもの。王冠に例えられるほど立派なケーキ。


 白いクリームはバタークリームね。これがスポンジと交互に層になっている。口直しにベリーのジャムもサンドされているのはこのお店のオリジナルね。

 ケーキの上部にはクルミが入ったカラメルとチェリーの砂糖漬けが置かれている。


 フルーツとナッツ、クリームによって作られる芸術的なお菓子。


 見ているだけで楽しいわ。


「ここのフランクフルタークランツは特に芸術的だよね」


「はい。お花みたいに綺麗で食べるのがもったいないです」


「ルーナは昔からお菓子が好きだっただろ? なかなか食べられなくて辛かったんじゃないか?」


「どうしてわかるんですか……お菓子が好きなんて話したことないですよね?」


「わかるよ。いつも3時のお茶の時間をあんなにそわそわして待っていたお姫様をずっと見ていたんだからね」


「そんな風に言われると恥ずかしいです」


「ごめん、ごめん。でも、本当にケーキを食べていた時のルーナは年相応の女の子で可愛らしかったよ?」


「……もうっ」


 私は大好きなお菓子を見つめながら顔を真っ赤にする。


「あの時のように可愛らしいキミが見れたから満足だね。さあ食べよう。せっかくの美味しいケーキだからね」


 上品にケーキをすくう彼につられて私も我慢できずにケーキをほおばった。


 クリームのこってりした感じとジャムの酸味がとても美味しい。スポンジもとても柔らかくて丁寧に作られているわね。


「美味しい。こんなケーキ王都でも食べたことがないですよ」


「ルーナはこの1年間ずっと頑張ってきたからね。その努力がケーキをさらに美味しくしてくれているんだよ?」


 私の努力を近くで見ていて認めてくれる人。

 そんな人と巡り合えただけで私は幸せなのかもしれない。


 ケーキの甘さとともに私は今の環境に感謝する。


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