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第122話 入閣

 そして、私たちは大量の議員立法を成立させていったわ。

 強力な仲間たちのバックアップのおかげで、1年でたくさんの法案を成立させることができた。


 宰相閣下の下野で非主流派になった保守党穏健派との連携は順調に進み、クルム王子一派の方を抑え込んでいる。


 王子一派は、この数か月間沈黙を続けていた。さらに、私たちとの連携がなければ政権の維持が困難になりつつあるという見通しがあるわ。


 直近の選挙が行われて、保守党は単独過半数を割ってしまった。

 自由党も単独で過半数にギリギリ届かなかったけれども、大躍進した。


 今回の選挙では、小党が力を伸ばしたわ。保守党を嫌う人たちの受け皿になった形ね。元老院議員選挙は半数の改選制だから、1年後にもう一度選挙があるわ。


 次が私たちにとっての最大のチャンスね。今回の元老院でも、議員立法を成立させて……


 政権を奪還する。


 ※


 そして、保守党と自由党の大連立交渉は佳境に達していたわ。

 両党の最高幹部が最後の大詰めとなる条件を詰めていた。


「自由党としては、ここで大連立を解消しても構いませんが?」

 私は、王子に脅しをかける。ただし、これはブラフよ。そうなってしまえば、単独過半数に達する政党が存在せずに、元老院が宙に浮いてしまう危険性があるから。


 それではいくらなんでも無責任すぎる。


「それは、お互いに避けたいでしょう。ルーナ副総裁?」


「ええ、殿下。その一点だけは、私たちは一致していますね。ですが、延長は今回で終わりに終わりにさせていただきます。そちらの条項だけは譲れません」


「なるほど……ずいぶんと意志が固いようだ。いや、自信があるというのかな? 次回の選挙で我々に勝つという確かな自信が……ならば、こちらからも条件を出しましょう。そちらをのんでくだされば、その条項を協定に追加させていただきます」


 私と王子の丁寧な言葉を使っての政争は続く。

 次に、彼が出してくる提案は、ひとつしかないわ。


 保守党の最大の障害である私を、どうにかして檻に閉じこめる手段。

 そして、監視しやすい場所に置くための方法はひとつだけ。


「ルーナ殿を文部大臣として、我々の内閣にお迎えしたい」

 王子は仰々しくそう発した。


 それしか手段がないということね。下手に私を自由にして、議員立法を量産されるくらいなら、動きが制限される入閣を提案してくるのはわかっていた。


 たしかに、これを受ければ、私の動きは制限される。でも、これはリスクはあるけど逆にチャンスでもあるわ。


 私はさらに大きな権限を手に入れることができるのだから。


「つつしんでお受けいたします」


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