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第121話 無双

「それでは、決議に入ります。自由党ルーナ議員を中心として提出された学制法の一部を修正する法律についてですが、賛成の者はご起立ください」


 議長の言葉に続いて、私たちは立ち上がる。

 クルム王子の派閥以外の議員は立ち上がった。


「賛成多数と見受けられます。よって、本案は可決されました」


 拍手とともに、私は前宰相様とフリオ閣下と握手して喜びを分かち合った。

 クルム派閥以外は、私たちの勝利が確定している状況なので地滑り的にこちらの味方になったわ。政治家は、いかに勝ち馬に乗るかしか考えていないところもある。


 だから、自由党と保守党穏健派が提携しているこの法案は出す前から可決が決まっている。誰もわざわざ負け馬に乗る必要性を感じていないのだろう。


 それに法案内容も財務省の優秀な官僚と一緒に作り、政務の第一人者である前宰相閣下にも確認してもらっているのよ。


 内容に問題はないわ。クルム王子陣営にとっては、数で負けることが決定している以上、内容をつつこうとしてくることはわかっていたからね。そちらについては、完全に理論武装していて、議論で圧勝した。


 王子本人が出てきたら、大変だったけど、結局、審議には取り巻きの側近たちだけが出てきただけだった。私と前宰相様が交互に対応して、彼らは完全に論破されて帰っていったわ。


 まだまだ、議員立法で成立させたい法案はたくさんある。

 この法案をどこまで通すことができるのかは、私とクルム王子の政争よ。


 相手が動けない状況なら、一気に叩くしかない。今までずっと守りに回っていたのだから、このチャンスは逃せないわ。


 ※


―クルム王子視点―


『いや、しかし……すごいな、ルーナ嬢は……』

『ああ、これで3本目の議員立法を成立させたぞ』

『一回の元老院で、一体何本用意しているんだ』

『それにしても、このままいけば、次期宰相は彼女で決まりじゃないか? 保守党は次の選挙で間違いなく自由党に負ける。いくら、王族でもルーナ議員の勢いを止めることはできないだろうな』

『フリオ財務大臣も、周囲に自由党総裁を彼女に譲る相談をしているらしい』

『政界の長老2人を後見人に、彼女の長期政権か』

『周囲を固める人材も優秀だから、可能性は高いよな。長老2人、婚約者であり優秀な軍人であるアレン、シッド総監、財務次官、バルセロク地方庁……』

『彼女の恐ろしさは、周囲の人間をどんどん味方につけてしまうカリスマ性だよな』

『こりゃあ、クルム王子は宰相にもなれず、王位に就くことはできても、お飾りかもな』

『まさか、元婚約者が実権を握るなんてな』


 愚民どもが、そんなうわさ話をしている。

 ああ、お前たちも粛清してやるよ。もうすぐな。


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