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第120話 闇に落ちる王子

ークルム王子視点ー


 新聞を読む。紙上には、ルーナを称賛する記事が並んでいた。


「関税法法案可決。ルーナ=グレイシア議員の議員立法」

「税制度への新風。新しい関税法案とは?」

「画期的な法案の可決。進む国家の近代化」

「ルーナ議員。続々と新議員立法案を準備中」

「議員の後見人はフリオ財務相と前宰相!? 史上最年少かつ平民宰相への期待膨らむ」

「すさまじい実行力。知事、元老院議員の二つの分野で活躍する超新星」


 すでに、マスコミはルーナを次期・宰相のようにはやし立てている。

 叔父上率いる保守党穏健派との連携という禁じ手を使い、奴はついに動き始めた。

 関税法案を皮切りに、教育改革法案を用意しているらしい。


 どうして、どいつもこいつもわからないんだ!? ルーナの行動は、貴族の権限を抑制し愚かな平民階級の権限を増やす危険な行為ということが!!

 このままでは、平民階級が出しゃばり、栄光ある貴族が没落することで国家が破綻する。 

 くそ、くそ、くそ。


「クルム殿下。大丈夫ですか? あんまり寝ていらっしゃらないのでは……」

 部屋の明かりをつけていたら、妻であるルイーダが入ってきた。


「ルイーダか。心配をかけてすまないな。いま、国の将来を考えていたところだ」


「最近、あの女が増長していますからね。でも、大丈夫です。我々にしかないものがあるのですからね。殿下は、押しも押されぬ次期国王最有力候補。あの女は、我々の臣下である宰相にまでしかなれません。今はどんなにあの女が褒めたたえられようとも、最後にはあなたと私の部下になる。部下になったところであの女を殺してしまえばいいじゃないですか」



 その言葉を聞いて、自分の中で何かが壊れる音がした。


「お前は、私がルーナに負けるとでも言うのかっ!!」


「ひぃ」


 自分でも驚くほど大きな声を出してしまった。ルイーダはおびえている。

 そして、飲んでいたワインのグラスを床にたたきつけて粉々にする。


「いや、そうか。たしかに、ルイーダの言うとおりだ。わたしが王になりすべてを掌握すればいい。そうすれば愚かなこの社会をすべて思うがままに変えることができるんじゃないか。そして、私が覇者になれば、ルーナごときの生殺与奪の権利どうにでもなる。そうだ、そうすればいい。私が勝者になる」

 

 自分が魔王になることを確信した。今までに、恩人であったルーナの両親にすべての罪をなすりつけ、弟すら手にかけて、叔父を失脚させた。

 だが、これは始まりに過ぎない。こんな国、どうなったとしても構わない。 



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