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第117話 議員立法

「大連立を利用する?」


「はい! 向こうから提案してきた大連立ですからね。維持する責務もある。だからこそ、私たちは多少の自由が許されるはずです。ここで私はイブール王国を近代化するために、基本となる法律を整備しようと思うんです」


 そう、議員は法律を作るのが仕事。立法府だもの。

 でも、最近の元老院は内閣が提案する法案を審議して追認する形ばかりのものになりつつある。でも、議員側から法案を提出することも可能なのよね。元老院議員にはその資格もあるし、法案を提出する義務もある。


 私が目指す国家像を実現する議員立法を大連立中にどれだけ実現できるかが、大連立後の勝負の分かれ道ね。


「ルーナ様! 頼まれていた書籍を買ってまいりました。こちらに運びこめばいいでしょうか?」


 自由党の事務員さんにお使いを頼んで、たくさんの法律の本を買い集めた。


「ありがとう。そちらにお願いするわ」


「なるほど、議員立法か。それなら、自由党側でも独自色を出しやすいし、保守党も自分のメンツのせいで安易に否定できない。税務、建築、教育……なるほど、やっとルーナがやりたがっていることがわかってきたよ」


 アレンはにやりと笑う。


「はい。バルセロク地方知事のときに、教育改革・港湾改革をおこなうためにたくさん法律を作りましたからね。私も法案の原型くらいは書けるようになりました。バルセロク地方庁や王子婚約者時代に知り合った中央の官僚の人たちに協力してもらい完成形を作れば元老院に提出できるはずです」


「うん。官吏には志が高い人がたくさんいるからね。現在の閉塞した状況を変えたいと思っている人たちは多い。そうか、彼ら改革派官僚に助けてもらうんだな」


「私が原案を作って、たくさんの人を巻き込んでより良いものを作る。そうすれば、この国は少しずつ変わっていく。貴族による貴族のための政治を打破できると思うんです。私たちは、権力の中枢までたどり着いた。そこまでくれば、国を変えることもできるはずです」


「ああ。それに、中央の官僚にパイプを作っておけば、保守党から政権を奪った時の政権移譲もおこないやすくなるな」


「はい! 向こうは私たちを手なずけたと思っているのかもしれませんが、これは私たちの方が得るものが多いですよ。これが貴族政治の打破のはじまりですから」


 王子は優秀だ。私たちの先を見て、狙いを潰そうとする。でも、狙いを潰すのにも限界はある。その策略を逆に利用されるということを考えていないのが、彼の最大の弱点。


 私たちは、ここで彼の呪縛を完全に断ち切る。


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