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第113話 クーデターの真実

―クルム王子視点―


「殿下。軍務大臣への昇進おめでとうございます」

 私が部屋で休んでいると、魔女がどこともなくやってきた。

 本当に悪役がよく似合う。


「話が早いな。今回の件、ご苦労だった」


「リムル局長と義父上のおかげでうまくやれましたよ。でも、まさかこんなやり方を実行するなんて悪い人ね」


「弟と叔父上をうまく排除できれば何でもいいさ」


 俺は、戸棚からワインを取り出して魔女にふるまった。


「誰もあなたがクーデターの黒幕なんて気がつかないでしょうねぇ」


「黒幕? 人聞きが悪いな。私は臨時政府を率いた英雄だぞ。クーデターには何の肩入れもしていない」


「ええ、そうですね。自由党の躍進により疑心暗鬼になっていた保守派たちを情報操作で煽り、決起をうながした。そして、情報局と私達新聞を使うことでクーデターの情報を完全に守り通した。政敵である宰相閣下は、すでに包囲網によって情報の流れから完全に遮断されているなんて思いもしなかったはずですよ」


「クーデターの発生日はある程度予想できるからな。武器や物資の流れが盛んになったら、俺はヴォルフスブルクに出張し自分の安全を確保する」


「私の人脈が役に立ちましたね。まぁ、ヴォルフスブルクの軍事介入を誘発させて、バルセロク地方の聖女まで排除できれば完璧でしたがね」


「まぁいいさ。今回は弟と叔父上の排除が最優先事項だったからな。アマデオは本当に死んだんだな?」


「もちろんですわ。クーデター発生時に、カインズ子爵が軍務次官をたきつけてクーデターに対して徹底抗戦をさせる。リムル情報局長は、アマデオ殿下を元老院の秘密通路に誘導して脱出させる。そして、軍務次官と合流させて勝てない正義に殉教させる」


「我々は、決して手を汚してはいけないからな。弟の殺害はクーデター軍にやってもらわねばならなかった。我々は、情報を集めることができなかった。他の政府機関と同じでね」


「特にあなたは、海外出張中だったから対処しようがない。完璧なアリバイを作ることができた」


「ああ、これからは我々の時代だ。後任の宰相には、クリスター侯爵の可能性が高いな。70歳を超える議会の長老だ。宰相を長くできるほどの年齢ではない。中継ぎと考えればいいだろう。私は、その後任を狙う。そのためには、保守党内に残る叔父上の派閥を粛清する」


「いいわね。楽しくなってきたわ。そして、最大のライバルは自由党ね。どうするの?」


 ワインを一気に飲み干し次の手を披露する。


「大連立だ」


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