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災厄の落とし子  作者: 特教機関ゲリュオン
第一章:落ちてきた星

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028 冒険者ギルド


 クリストロフの街に入った後、俺はパーキングさんの店に案内された。

 どうも保存食を扱っている店らしく、旅をする際には贔屓にしてくれと言われた。

 まあ悪い気はしない。


 そしてオストロルに向かう方法だが、一番簡単な船は絶望的だ。

 停戦中とは言え、両国関係はヒリつているし、トリトンは暴れているしな。

 今は金を貯めて新しい航路が見つかるのを待つしかない。


 ということで、俺は冒険者ギルドにやってきた。

 経験、前科、職歴不問で金が稼げるのはここだけだし。

 それに腕には多少自身がある。

 オストロルに帰るには乗船代含め金貨1枚はかかるらしいし、蓄えはいくらあってもいいからな。

 じゃあ、行きますか。

 

 ではここからは冒険者ギルドについて説明していこう。


 元々冒険者ギルドは土地の開拓や未開の地の探索、その地で摂れる資源の調査などをする冒険者を応援するために4000年前に創られたものだ。

 しかし居住地が安定してくるとそういった仕事は少なくなり、サブだった魔物退治や護衛、人々の手伝いがメインとなっていった。

 そして現在のような「何でも屋」となったのだ。

 それでも冒険者ギルドの名前を変えないのは創業者ベーリングの「人生とは冒険である」という格言があるからだろう。


 ギルドの中に入ると沢山の人がいた。

 見るからに荒くれ者のような人もいれば、賢そうな魔術師やがっちりと鎧を着込んだ剣士もいる。

 どうやら酒場も併設されているようで、多くの人が酒を飲んでいる。

 時間帯からしても仕事が終わった後のようだ。

 結構うるさい。


 俺は早速受付カウンターらしき場所へ向かった。

 

「すみませーん」

「あら、初見さんですね。どうしましたか?」


 受付嬢らしき綺麗なお姉さんが奥から出てきた。


「冒険者ギルドに加入したいんですけど」

「新規加入の希望者ですね。でしたらまずこちらの書類にサインをしてください」


 と、紙を渡される。

 契約内容とかがぎっしりと書かれてあった。

 えっとまずは、戦闘要員と――


「どけえ!いつまでそこで突っ立っているつもりだぁ!」


 ドンと大男に突き飛ばされる。


「こっちはずっと待ってだぁ!用事が終わったらさっさと失せろ!」


 用事はまだ終わってない、っと言いたくなったが、事を荒げてはいけないと思い素直に譲った。

 それに……。


「えええ!姉ちゃん、こんだけ働いて銀貨1枚もないのかよ~」

「そういう契約なので」

「でもあいつは銀貨2枚貰ってたぞ!」

「ギブさんとライサンドさんでは成果の量が違いますから・・・」


 彼も色々大変そうだ。

 日雇いというのは実力があれば問題はないが、そこそこの人では安定した収入は得られない。

 となると1日で小金貨3枚を稼いだユナってなんだったんだ。


 さて、しっかりと稼ぐ為にも契約書はよく読まないとな。


 まずギルドメンバーは、戦闘要員と非戦闘員に分かれるそうだ。

 そのまんまで戦える人と戦えない人で仕事内容を区別している。

 俺は戦闘要員として登録するとして、そうすると試験を受けなければならない。

 その結果で階級別のバッチが与えられて依頼の優先権が決まるそうだ。

 階級は第一星から第八星まであり、最高ランクの第八星は世界に10人しかいないらしい。

 あと、階級によって受けられるサービスも変わるそうだ。

 上の方になれば武器の手入れにマッサージ、食事券も付く。

 これはいいね。

 そして大事なのが報酬だ。

 ここでは『一依頼一報酬制』と『成果制』がとられている。

 前者は、一つの依頼をこなせばチームに対して報酬が支払われる。

 ここでいうチームというのは同じ依頼を受けた人たちのことで、報酬は赤の他人と山分けされる。

 当然チームが大きくなれば一人当たりの報酬も減るので安易に群れるのは良くないのだろう。

 後者はそのままで魔物の討伐数などの仕事量で報酬が決まるのだろう。

 ギルドとしては初心者は前者の依頼を受けることを推奨しているそうだ。


 ざっくりと見るとこんな感じだ。

 あと注意しなければならないのは「当ギルドは個人間のトラブルには一切関与いたしません」という一文だ。

 軽く辺りを見回しただけでも、賭け事、借金の取り立て、美人局らしきものが散見される。

 自分の身は自分で守れってことか。

 ただ、報酬に関するトラブルにはしっかりと対応してくれるそう。

 

 じゃあサインをして提出だ。


「ありがとうございます。では早速明日の朝に試験を行いましょう」

「明日ですか」


 まあ日も暮れかけているしな。


「となると、宿を探さないとな」

「あ、それでしたら」



-----



「アン!アン!アアン!」


 ここはギルドの管理している寮だ。

 銅貨30枚で一泊できるという低所得者にはありがたい物件だが。


「ああ~!来る!来る~!」


 壁が薄くて隣りの部屋の喘ぎ声が聞こえるし、なんか全体的に汚い。

 狭いワンルームであるのはベットと収納だけ。

 まあ値段的にはこんなもんか。

 ただ気になるのはベットが二段ベッドになっていること。

 これってもしかして……。


 突然ガチャンと扉が開く音がした。


「おい。お前何もんだ」


 振り向くと女の子がいた。


「あたしの部屋に何かようか?」


 身長はレティシア姉さんとさほど変わらない。

 顔もムスッとしているが可愛らしい。

 しかし彼女には姉さんにない威圧感があった。

 それは彼女が鎧を着込んでおり、自身の身長ほどある大剣を担いでいるからだろう。


「聞いているのか」

「ああすみません!本日からこの部屋に住むことになったゼオライトと申します!」

「同居人か。(キー)は?」

「こちらですぅ」


 急いで鍵を見せる。

 ナンバー208。

 間違いなくこの部屋のものだ。


「……はぁ。男かよ」


 男ですみません。


「まあでも、ふーん」


 近づいて来て顔を見上げる。

 鋭い目つきだ。


「いいだろう。今日はもう寝ろ。蠟燭代が勿体ない」

「はあ」

「ベッドは上使っていいぞ」


 何か知らんが認められたらしい。

 ここに住めるなら何でもいいが。

 そしてチラッとギルドのバッチが見えた。

 星が6つ。

 絶対に喧嘩は売らないほうがいい。


「あと、間違っても変な気ぃ起こすなよ」

「はい~、おやすみなさい~」


 収納に適当に荷物を入れて、上のベッドに急いで上がる。

 部屋から追い出されて凍死なんてたまったものじゃない。

 ここは大人しくいうことを聞いて、さっさと寝よう。



-----



 目が覚めたのは日が昇る前だった。

 いつものことだ。

 

「さっむ」


 流石極寒の国。

 夜はとても寒かった。

 風がスース―入ってくるし、掛け布団もうっすい。

 下を覗くと同居人の女性は良さげな毛布にくるまっている。

 おそらく自分で用意したのだろう。

 暖かそうだ。


「まずは寒さ対策をしないとな」


 昨日はコートでなんとかなったが、雪が降る日はもっと寒くなるだろう。

 布団もそうだが手袋、耳当て、ブーツなども用意しなければならない。

 軽く銀貨5枚は飛ぶな。


 そう思いながら朝の支度を始めた。

 といっても下着を履き替えるぐらいだが。

 朝食はギルドの中で食べられるだろうし、ここで裸になって身体を洗うのもな。

 彼女もいるし。

 てか着替えているところを見られたら勘違いされないだろうか。

 怖くなってきた。

 別に汗もかいていないしこのままいくかぁ。



-----



 ギルドに着いたのはちょうど日が昇りかけているころ。

 既にかなり多くの人がいた。

 そして皆ある一点をじっと見つめている。

 掲示板だ。

 ちょうど受付嬢が紙をペタペタと貼り付けているところだった。

 多分依頼書だろう。


 受付嬢がカウンターに戻るとぞろぞろ掲示板によって行き、依頼書をべりべりと剝がしていく。

 なるほど。

 依頼書は10枚とか3枚綴りになっていてそれが定員になっているのか。

 それで全部なくなったら、


「よぉし!7番の依頼を受けた奴、全員集まれ!早速行くぞ!」


 となるわけか。

 チームを作ることが必須となっているものもあれば、バラバラに行ってもいいものもあるみたいだ。

 そこらへんはあとで説明されるだろう。

 

 俺は人が少なくなったタイミングを見計らって、カウンターに向かった。


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