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災厄の落とし子  作者: 特教機関ゲリュオン
第一章:落ちてきた星

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・耳長族観察日記


 エルフの村に流れ着いてから数十日がたった。

 俺はエルフに対して色々と誤解していたようだ。

 以下にエルフの本当の生態を記そう。



 まず、なんといっても特徴的なのが見た目だ。

 エルフを『耳長族』と言うように、耳が尖っている。


 そしてもう一つ。

 それは美男美女しかいないことだ。

 一見楽園のように思えるが、最初の三日ほどは美人酔い(?)していた。

 甘いケーキはおやつだから美味しいのである。

 主食だと胸焼けしてしまう。


 エルフは長寿である。

 平均寿命が50歳である人間と比べて、エルフは1000歳と非常に長生き。

 しかも若い時期が非常に長い。

 100歳で成人し800歳で出産ができなくなるのだが、その間の700年は人間の20代ぐらいの容姿なのだ。

 羨ましい。



 次はエルフの文化や慣習を紹介しよう。


 エルフの主な生息域はここ、セイエナの森だ。

 森の各地に村があり、師匠が知る限り30を超える集落があるそうだ。

 この村が200人ほどらしいのでだいたい6000人のエルフが森に住んでいることになる。

 今は世界中にエルフの集落があるが、セイエナ大戦前はここにしか住んでいなかったんだと。



 エルフには結婚という概念がない。

 結婚の概念がないということは、恋人を作らないということ。

 つまり、不特定多数の相手と交尾する種族なのだ。

 ムラッときたら近くにいる異性と交尾するのが普通らしい。

 村を一周歩けば必ず一度はその現場に出くわすだろう。

 こういうことから人間は「エルフは淫乱だ」と勘違いしてしまったのだろう。


 ちなみに人間を含めた他種族相手でも全然OKらしい。

 気持ち良ければなんでもいいそうだ。

 そりゃ勘違いするわ。


 とまあ、そんなわけでエルフは自分の母親はわかっても、父親はわからない。

 うっかり近親相姦しちゃいそうだけど大丈夫なのだろうか。

 気になったのでレティシア姉さんに聞いてみたが、

「あまり気にしたことないなぁ」

 だそう。


 もっとも、妊娠適齢期が長い割に受胎率は非常に低いらしいので心配ないだろう。

 なんでも一生の内に3人目が産めるかどうからしい。

 ま、あんだけ長生きして人間並みの繫殖力あったらヤバいことになるしね。


 家はどうなっているのかというと、基本的に女の人が固定で住んでいて、夜になったら男の人が適当に入るという仕組みだ。

 なので夜のはじめ頃はちょっとうるさくなるぞ。


 俺は客人ということでずっと同じところに住ませてもらっている。

 住み始めたころは1人か姉さんと2人きりだったが、最近はちょくちょく子どもを中心に泊まりに来る。


 ちなみに、師匠が娘だと言っていた人は実の娘ではないそうだ。

 旅の途中で拾ったらしい。

 で、その人の娘がレティシア姉さんになるわけだ。



 食文化は、噂通り野菜と果物が中心だ。


 果物に関してはそこら辺に生えている物を食べてOK。

 種類も人間の市場に出回っているものの5倍はあるだろう。

 しかも全部美味しい。


 野菜は果物と違ってきちんと栽培されている。

 村の外れの湖の周りに畑があり、見たことある野菜からどう見てもマズそうな野菜まで色々ある。

 緑色のブツブツしたやつとか生で食ったらクッソ苦かったぞ。

 ただ、やはりというかエルフの作る野菜料理は美味い。

 苦い野菜も美味しく食べられる。


 特に野菜のヘタや皮を溶かしたスープは絶品だ。

 今度作り方を教えてもらうか。


 エルフは肉を食べないと聞いていたが、少しは食べるようだ。

 といっても、焼いたり煮込んだりはせず、ひたすら蒸してから食べる。

 あるいは骨から出汁をとったり、燻して保存食にしたりしている。

 どちらかといえば後者の方が多いか。


 どうもエルフは血液を「ケガレ」として忌み嫌っており、ケガレに触れると寿命が縮まるそうだ。

 実際にそうなのか、単なる伝承なのかはわからん…

 そんなわけで肉を生で食うことはないし、村には医者もいない。

 特に外部の種族の血は絶対に触りたくないそうだ。



 エルフは物々交換で生活していると聞いていたが、これも間違いだった。

 確かにエルフの社会に貨幣というものは存在しないが、物々交換をしているわけでもない。

 じゃあどうやって物を買うのかというと、

 例えば果物が欲しい時、籠いっぱいに果物を入れたお姉さんに、

「それちょうだい」

 と言うだけである。


 まあどういうことなのかというと、

 エルフの村で共に生活している仲間に必要以上の対価を要求するのはあってはならないらしい。

 それぞれが仕事を全うしている、それこそが対価なのだ。


 ちなみに私は、村の衛兵と教師という役割を担っている。

 衛兵の方はともかく、教師の仕事はそこそこ需要がある。

 エルフは勉強ができないのだ。

 勉強ができないというよりは、する必要がない。

 彼らは村でゆっくりと幸せに過ごしていれば満足だそうだ。

 人間のような向上心はないらしい。

 ただ最近(といってもここ200年ほど)は村を出ていくエルフも少なくないそう。

 そういうエルフに向けて、今は割り算を教えている。

 見た目も年齢も俺より上なのにね…


 ちなみに知能が低いわけではない。

 ちょっと能天気だけど。


 もちろん、生活に関わる分野だと人間より強いわけで、サバイバル術なんかは極みに達している。

 大抵の物は一人で作ってしまうし、自然に対する知識も豊富だ。

 前述したように他人の血が触れられないので、怪我の手当てなんかも一人でやらなきゃならない。

 迷惑かけたくないし、自然の中で生きていくための知識は学んでおかないとな。


 あ、忘れていたが、普通に人間語は伝わる。

 一応セイエナ語なるものはあるが、話せる人は少ない。

 文法とかが面倒臭いそうだ。


 弓の腕もかなりのものだ。

 先天的なものというよりは訓練で、といった感じ。

 大人なら男だろうが女だろうが一流の狩人ぐらいの腕になっている。

 俺も教えてもらうか。

 その反面、剣とか槍は全くやらないらしい。

 弓だけが返り血を浴びずに獲物を狩れるからだろう。




 衣服は獣人と違ってちゃんとしている。

 イーデという民族衣装があり、これがまた面白い。

 原色強めで派手な模様の刺繡が入っており、袖や裾には紐みたいなものが沢山付いている。

 これにプラスして祭りや重要な儀式の時は、緑色の石がじゃらじゃら付いたネックレスや鳥の羽根がいっぱい付いた帽子を被ったりする。

 なかなか独特だ。

 ルーさんという方が俺のためにこのイーデを作ってくれたのだが、通気性も良くて動きやすい。

 欠点があるとすれば、パンツ型の下着がないことだ。



 故郷もかなり山の方だったが、ここは森林のど真ん中。

 慣れてきたとはいえ、大変なことは多い。

 特に食生活が全然違うのが難点…。

 でも、エルフは優しい方ばかりだ。

 わがままを言わず、いつか恩返しをしなきゃな。


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