表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
災厄の落とし子  作者: 特教機関ゲリュオン
第一章:落ちてきた星

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/90

008 目覚め


「ん?」


 気がつくと、俺は真っ白い空間にいた。

 だだっ広い空間。

 辺りには薄く霧がかかっている。


 そうだ。

 俺はあいつに吹き飛ばされたんだった。

 死んだんだ。


 ふと後ろを向くと、誰かが立っていた。

 金髪で白いドレスをきた女性。

 背中には羽が生えている。


「天使……お迎えか」


 どうやら俺は天国に行けるらしい。


 歩いて女性に近づく。

 それに合わせて女性も近づいてくる。

 そして女性は跳んで…


「え」


 ドロップキックをお見舞いしてきた。



-----



「ぶはぁ!」


 目が覚めると、見知らぬ家にいた。

 パチパチと焚火の音もする。

 丁寧にかけられた毛布をそっと除け、上半身を起こす。


 ここは……。


 ドーム状の木造建築の家だ。

 真ん中に火を焚けるスペースがあり、奥には大きな木の幹が見える。

 近くの窓、というか開口部から外を見ると高い位置にあることがわかった。

 ツリーハウスのようだ。


 人もいる。

 足元の方に美人のお姉さんが寝ていて、焚火の向こうに老人がいる。


「目覚めたか」


 老人が立ち上がり、杖をつきながら向かってくる。


「あの、僕は…」

「空から降ってきた」

「は、はぁ」

「立てるか?」


 ベッドから降りる。

 身体に問題はなさそうだ。

 老人は頷き、焚火の傍に座って手招きをした。

 俺は老人の横に座った。


「腹は?」

「……すいています」

「ちょっと待っとけ」


 老人は傍にあったスープ鍋のようなものを天井から吊るし、焚火で煮込み始めた。


「あなたが僕を助けてくれたんですか?」

「儂はここまで運んできただけじゃ。落ちて来たお前さんには魔法防護が張ってあった。それで助かったんだろう」


 魔法防護。

 完成していたのか。


「それでも、ありがとうございます!」

「ふん。で、何があったんだ?」


 老人は暖かいスープを差し出しながら、そういった。



 そして俺はこれまでのことを話した。



-----



「なるほどな。オストロルに天才が現れたか」

「はい。もうとんでもない天才ですよ」


 話を聞き終えた老人は、少し考える素振りをし、

 こう言った。


「お前さん、流れ星を見たか?」

「?」

「流れ星だ。何日か前に落ちて来ただろう」


 ああ、思い出した。

 ってあれ?

 なんでそんな大事なこと話してなかったんだろう。


「流れ星。見ました。その近くにマサキがいたんです。」

「……お前さん、それを誰かに話したか?」


 そういえば話してない。

 正確に言えば、流れ星が落ちて来た次の日から話していない。

 なんでだ?

 なんで話してなかったんだ?


 オロオロしだした俺を見て悟ったのか、老人は続けてこう言った。


「あるいは、流れ星について誰か話していたか?」


 ゾッとした。


「誰も話していませんでした…」


 そうだ

 流れ星が落ちて来たんだ。

 街で噂になっていてもおかしくないし、

 魔導学校の教授たちが調査しに行くはずだ。

 なのに誰もそのことについて語っている人はいなかった。


 そして俺自身も誰かに話そうと思わなかった。


「やはりか」

「やはり、とは…?」

「そのマサキという奴は『星の子』じゃ」


 星の子……。


「つまり、流れ星から生まれたってことですか?」

「そうだ」


 老人は真剣は顔をして語りだした。


「『星の子』は前世の記憶を持っており、強大な力をその身に宿している。そして自分の正体がばれぬよう、周囲に呪いをかける。そういうお告げがあった」

「お告げ…」

「そうじゃ。そして『星の子』は災厄を呼ぶ」


 お告げとな。


「儂はそいつを殺さねばならない」

「殺すんですか?」

「ああ。そういう運命じゃ。だがもう寿命だ」


 なんか怪しくなってきたな。

 もしかしてボケ老人では?

 いや、でもさっき鋭いこと言ってたもんな。


「そこで君に頼みたい。儂の代わりに奴を殺してくれ」


 とうとう殺人依頼されちゃったよ、俺。

 やっぱいイタイ奴じゃね?


「君、名前は?」

「……ゼオライトです」

「うむ。儂はイルセンド・プディオ」


 は?


 イルセンド・プディオ。

 この世界でこの名を知らぬ人はいないだろう。

 セイエナ大戦末期に現れた大天才。

 魔術の第二の開祖。

 まさに伝説の耳長族。


 あろうことか、この老人はそのイルセンド・プディオと名乗ったのだ。


 待てよ。


 老人の耳を見る。

 尖っている……ように見えなくもない。


 寝ている女性は?

 尖っている。

 明らかに人間とは違う耳の形状をしている。


 ということは……。


「ゼオライトくん。ようこそセイエナ大陸へ」


 ……。


「うわあぁぁぁ!! エルフだぁ! 襲われるぅぅ!!」


 ダメだ。

 ここは危険すぎる!


「いくらエルフでも、嫌がる人を襲ったりせんよ」


 老人は呆れた顔をして、部屋の隅でガタガタしている俺にそう言った。


 嘘だ。

 だって……。


「エルフって、あの淫乱エルフじゃないですかぁ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ