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プロローグ
「神秘の始まりは星である」
賢者アンゲートの言葉である。
太古、人々は天体を見て季節を知り、進むべき方向を示した。
星の動きの規則性を探るために数学が生まれ、あるいは星に物語を見出したものもいた。
星によって生活が作られ、学問が生まれたのだ。
まさしく、星は天からの贈り物である。
そしてその贈り物の中でも、最も優れたものが『魔術』である。
伝説によれば、ある魔族が星を指でなぞっていた時、魔術が生まれた。
魔術は魔族の間に広まり、神をも超える力となった。
しかし魔族は更なる力を求めた。
自らの神だけに止まらず、この世界の全てを支配しようとした。
そのためには、もう一方の半球も必要だ。
魔族たちは北上した。
未だ観測できていない星を見るために。
これがセイエナ大戦の始まりであった。
この戦争によりあらゆる文明は破壊され、両軍ともに多くのものを失った。
人も、故郷も、星も。
そして時は流れ、再び星が現れた。