俺たちにも洋上航空兵力が要るんだ!
ソードフィッシュが傷つけたのは、ビスマルクの船体だけでなく、ドイツ大西洋艦隊のプライドも傷つけたのでした。
ほぼ無事にブレストに戻ったドイツ大西洋艦隊は、深刻な課題を突きつけられた。
複葉の泥臭いソードフィッシュに旗艦たるビスマルクを傷つけられたのだ。
想定される最も旧式な艦上雷撃機に、である。
わが海軍情報部や、日本大使館の武官やらの情報などからは、アメリカにはダグラスの雷撃機、さらに進んだグラマンの雷撃機がある。
また、艦上爆撃機は、ブラックバーンのスキュアはともかく、アメリカのダグラスの艦上爆撃機なども、侮り難い能力を持つと言う。
太平洋で戦う日本海軍も、ミッドウェイ島を巡る海戦では、先に述べたような、イギリス軍より進歩したアメリカ海軍機の前に、危うく主力空母全滅の危機に陥る寸前だったとのことである。
幸い、ミッドウェイ海戦では、当初索敵が不十分だった日本海軍機動部隊がギリギリの土壇場でアメリカ海軍機動部隊を発見し、攻撃隊を発進させ、海戦に参加した米空母すべてを発着不能に追い込みさらに、潜水艦がそのうちのヨークタウンを撃沈したことから辛勝となったのである。
アメリカはヨークタウン級を拡大した新たな空母を複数の造船所で建造していて、早ければ、来年から続々就役するとの未確認情報もある。また、各種艦艇を改装しての空母建造も進められているとも伝えられる。
希望的観測をすれば、これらの新型空母は激烈な空母戦の続く太平洋に回されるだろうが、戦況次第でどうなるか解らない。
たった12機のソードフィッシュに振り回されている現状からは、恐るべき未来が待ち構えていることになる。
大西洋艦隊の参謀やらが何度検討し直しても、やはりドイツ海軍にも洋上で艦隊防空に使える艦上戦闘機と、それを必要な機数 運用可能な空母がいると結論された。
しかし、残念ながらドイツ海軍には空母のノウハウは日本海軍から学んだ分だけであり、空母も現在、建造中いや試作中とも言えるグラーフツェッペリンのみである。
ドイツ大西洋艦隊からは、脅しとも取れる位激しい表現で海軍司令部に「意見具申」するようになり、様々な裏工作も政権中枢に向けても行うようになるのである。
それは後に第二次大戦の行方を決めたと言われる決定につながるのであった。
ここからどう話を進めるか?悩みどころであります。