アブロ社の工場にて
大型爆弾、作ってみたものの、運ぶのは大変です。
「やっぱり」
「そだねー」
テストから帰ってきたランカスターを前に技術者たちが頭を抱えている。
空軍から、ランカスターにとんでもない改修を言ってきたのだ。
一つは、5.4トンの爆弾搭載。
もう一つが、よくランカスターがドイツ夜間戦闘機に追われた時に行う「コークスクリュー機動」である。
いずれもそれだけなら問題ない。
この課題をあわせて行うのが無理があるのだ。
ドイツ艦隊がたむろしているブレスト港は、対空火器が強化されて、戦闘機も多数配置されている。
そこに対艦攻撃に使うには史上最大の爆弾を持っていくんだが、まともなアプローチしていったら、簡単に捕捉されてしまう心配があるのだ。そのため空軍からは、とんでもない過荷重であるが、通常の回避機動が可能なようにしてくれと、要求されたのである。
そして、各部を補強した上で、特大のスリングを爆弾倉に取り付けた後、模擬爆弾を搭載、さらに上空で回避機動をしたが、結果は見るも無惨である。
スリングの取り付け部には補強のための、ダブラーを当ててるが、そのダブラーを止めるリベットの穴からクラックが入っているわ、リベットが何ヵ所も抜けるは緩むわ。
主翼や尾翼にもリベットがとんだ跡がある。
もともと、板厚を増したり、リブを追加したりとにかく丈夫にしてあるのに、無理がきているのである。
また各種装備品も可能な範囲でおろしてこの状態である。
機内をよく見たら爆弾倉の天井あたり、かなり歪みが出ているようでもある。
「結局、爆弾は搭載できるが、あくまでも水平に普通に飛ぶのが前提。だな?」「それしかない」
結局空軍には過荷重状態での機動にはかなり制限がつく前提で引き渡すことになったのである。
仕方なく、水平で白昼、中高度を爆撃進入する、ためには、できる範囲の支援作戦を実施することになったのである。
「こいつなら強力ですよね〜」
デハビランド社では同社のモスキートにでっかい機関砲を取り付けて対潜水艦およひ水上艦攻撃にあてるようにしていた。
こいつもブレスト攻撃に一役使わせようと動員が決まった。
第二次大戦時、航空機に「実用的」に搭載可能な最大級の「機関砲」の57ミリ、ビッカースS砲である。
ロケット弾を積んだ戦闘爆撃機型と協同して対空火器潰ししようって魂胆である。
さらに、大陸への反攻作戦が延ばされているお陰で、強化されてるドイツのレーダー網に対しては、電波妨害を実施して、意図をできるだけ秘匿することもあわせて実施されたのである。
このような様々な支援作戦がさらに計画されていく様子は章を改めて述べてみたい。
モスキートの57ミリ機関砲、でかいです。実物見てきましたが、今の20ミリバルカン砲の3倍位はあります。
ぶっぱなしてみたい、そんな気持ちになるような代物です




