なんやと?!
横須賀航空隊での各種エンジンの試験始まる
横須賀航空隊での会議はいきなり紛糾している。
ここ横須賀航空隊の格納庫には、日本が捕獲して地上試運転可能なコンディションまで復旧した各種航空エンジンが並ぶほか、日本の各メーカーのエンジンも並べられている。
これは同日、同じ場所でエンジンのランナップを行い同一状態での比較をする試験計画である。
そして第1次試験が発動機試験台にて行われた上、陸海軍、メーカー、研究機関、さらにオブザーバーとして招かれたドイツチームも含め、討論会をしていた席においてである。
「あの「誉」ってなんなんだ?戦争で使う気あるのかよ?」
大使館付きドイツ空軍士官が席上にて「つぶやいてしまった」のである。
陸海軍期待の星、かつ中島飛行機自慢のエンジンをけなされたから、話がもつれる。
こいつには三菱もからむから、彼らもいい気はしない。
「誉はな、前作のエンジンの栄をそれぞれ前後に2気筒追加したエンジンだ。
そんだけコンパクトなエンジンなんだよ!
てめえらのBMWみたいなかさばる、ふやけたエンジンと違うんだよ?
おととい来やがれ!」
という意味の日本語を、明らかな怒りをみせつつも穏やかに語る。
ドイツ士官も淡々と「私もそりゃ認めますよ。
でもね、誉を搭載予定の機体は、そもそも栄を積んでいて交換する計画があるなら、この寸法にも納得できる。しかし聞けばそのような計画もない。
出力が約1.5倍近いアップされているのに、いたずらに小型化にこだわるのはろくな結果にはならんはず。
この正面形状をみたまえ。後ろの気筒がよく見えない。つまり実用した
場合の冷却不良を招き兼ねないんだ。
今はまだ丁寧に作られた試作段階だから、見せてもらったような技で作り込まれているからいいがな、、。
うちの国で、とんでもない双子エンジンの冷却問題はすでに君らにも伝わってるはずだがね?
確かに小型化、コンパクト化は飛行機の性能アップの王道だと思う。
しかし、熱帯の酷暑のなかや、前線のくそ寒い環境で手袋しないと素手でレンチなんて持てない環境で狭いカウル、どうやって整備するんだい?
カタログのデータは高いとしても実際に現場で十分な整備できない製品では、長い現場での運用には問題になるがな?
ましてまだやっとオイルもれやら、基本的な部品の改善に本格的に踏み出したばかりだしな。
悪いことは言わない、「誉」搭載する機体側のゆとりを最大限活用して、整備性や耐久性の向上に資するようしたほうが良いと思う。」
ドイツ大使館の武官の意見にはなかなか頷く点もあり、さらに様々なエンジンについて質疑が繰り返され、この会合から次世代の噴射式エンジンの開発、それに関する技術開発が生まれてきたのであった。
さあどうなるやら




