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イギリス海軍の疫病神  作者: 通りすがりの野良猫
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ニューヨーク港奇襲作戦

ニューヨーク港での貨物船爆発が、歴史に影響しています

ニューヨーク港のふ頭にて、爆発音がしたや否や、みるみる入港しているエンパイア級貨物船が沈んで行く。


これは後にドイツの武装親衛隊の某少佐率いる特殊部隊による破壊活動と判明したのである。


しかしそれは戦後の話で、英米とソ連の間に対立が公然化した後には、ソ連の工作員の仕業とまでされたのである。


現実は、入手困難な一部の材料以外は、アメリカ国内で作られた水中スクーターを使用した、ドイツの特殊部隊による作戦だった。


設計はイタリア軍が使用したものを簡易化して、「アメリカの町工場レベル」で組み立てできるようにされた使い捨ての水中スクーターである。


イギリス軍が製作した、停泊中のドイツ水上艦艇を狙うX艇と違い、潜水艦で曳航するなど無理な長距離航洋性能はあきらめたため、秘匿しやすいのが特徴である。


ハドソン川に面したちっぽけな廃業寸前の工場で、密かに組み立てられた水中スクーターは、中立国経由で「機械部品」として送り込まれた爆薬を搭載して、操作する兵員は潜水服を身につけ、簡単な水流覆いの影に入る程度で、ごくゆっくりとした速度にて、ハドソン川の流れに、流されるままに 下っていき河口からふ頭を狙っていく。


今回の目標は、例のキュナードラインのクイーンメリーか、クイーンエリザベスを狙いたかったが残念ながら不在。


仕方なく、当日最大の貨物船を狙い、時限信管をセット、機関室下方に爆薬とスクーターまるごと置き去りにして逃げ出したのである。


そして通りすがりの小型漁船に扮した工作船に、収容されて静かに去って行ったのである。


この貨物船は船底、機関に大損害を受け中でも機関室の歪みからスクリューの軸芯が狂い廃船となる被害を受けた。


さらに問題は、この船に搭載されていた多数の高射砲弾である。

船が大破するほどの損害を受けたから、貨物も強烈な衝撃を受けたのだ。

幸い搭載されていた高射砲弾と言うものは、発射時点に砲身内側にライフリングによる高い回転を受けて、初めて安全解除されたりするため、誘爆には至らなかった。


ただ今回搭載されていたのは近接信管つまり、小型の発信器で電波を放ち一定の距離で爆発するって仕組みのやつである。

つまり飛行機を撃ったとき、「弾のそばに飛行機がたまたまいる」と感知されたら爆発する対空用には理想の信管なのである。


困ったのは、こいつが想定外の衝撃を受けたため、内部の電池用の電解液のアンプルが割れたりしたら、使用時に使えなくなってる恐れがあるのだ。

そのため5000発、搭載されていた全数、再検査または廃棄するしかないとなったのである。


運の悪いことに、この近接信管は苦労を重ねて開発してようやくものにした最初の量産品で、それが丸々全損に近い状態になったのである。


これは、ヨーロッパ方面でのイギリス軍やアメリカ軍の訓練、教育の所要分にあたるものであったのだ。


これが失われたため、前線の高射砲大隊にこの新兵器が配置されるのが大幅に遅れてしまった。


そのため後にドイツのフィーゼラー社製の「飛行爆弾」がロンドンやらイギリス各地を襲い始めたときはまだまだ行き渡らず、高射砲の信管は従来型の時限信管しか使えず、V1対策には高射砲は有効性を発揮できなかった。


このためフランスに上陸する英米の反攻作戦の準備はところ構わず落下する飛行爆弾のお蔭で、大混乱してしまう。


輸送船団が苦労して運んで来た軍需物資のデポに、落下したV1が爆発炎上するわ、夕方発進準備中で誘導路に並んでいたランカスターのど真ん中に落ちたV1はそこにいた1個飛行隊のランカスターを全滅させ、地上の整備機材、ベテランの整備兵などもまとめて失わせるような被害が続く。


たまりかねて、当初フランスのノルマンディ上陸を狙い、英仏海峡に近いあたりに集積した物資をイギリス北部に疎開すると共に、供給不足から対ソ連向け軍需物資供給を削減することを通告した。

これにソ連が反発したため、戦後の冷戦につながる種がまかれることになっていく。


ごく少数の特殊部隊が歴史に影響を与えた数少ない例である。


さあどうなることやら

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