「大西洋遮断作戦」まもなく開始
ドイツは各所で各軍、同盟国まで巻き込んだ大作戦を行うことになった。
この主役の一つが大西洋艦隊であり、先ごろから改修しているベアルンである。
どうなりますやら
ブレストのドイツ大西洋艦隊司令部のある一室である。
表紙に「極秘」の印のある2つの書類が置かれている。
「これで計画完成だ。」
「なんか性格の悪さを疑うような作戦だよな?」
「あの性格の悪いチャーチルの率いる大英帝国を相手にするんだ、これくらいしないとな。」彼ら大西洋艦隊の参謀は、次の大西洋を舞台にした大作戦について話ている。
サンナゼールへのイギリス側の偵察機はあえて迎撃をしないようにするなど、異例の取り組みをしていたのだ。
またこの作戦にはかってはそれぞれ独自の動きをすることが多かったドイツの3軍さらには武装親衛隊までからむ大作戦になっている。
つまり、各軍の各部隊の行動は今回の作戦、「大西洋遮断作戦」の一つのピースであるのだ。
かいつまんで言うと、海軍の水上艦隊、潜水艦隊の通商破壊戦を効果的に行うのを、各軍が支援するのである。
陸軍がなぜ?であるが、東部戦線でソ連軍が大攻勢を計画しているとの情報があるからだ。
この作戦の肝は米英からの大規模な支援を受けることである。こいつを絶つにはやはり海の上が一番であるのだ。
陸軍が狙ったのはムルマンスク。陸からの攻撃が困難なことはわかっている。
こいつを海軍と協力して無力化するのだ。
この点がみそである。
占領するには膨大な手間がかかる。
海軍の通商破壊戦と連携することが大事なのである。
一方、普段はライバルであり仲のよろしくない武装親衛隊は、アメリカ本土の諸港での破壊工作や妨害を海軍の支援で行う。
空軍は、艦隊に対する上空援護の他、イギリス艦隊に対しては、長距離哨戒機で捜索することや夜間戦闘機を活用してイギリス空軍の爆撃軍団の基地に送り狼として、帰還する爆撃機を追跡し基地を攻撃するなど。
特に最後の作戦は、本土防空と、艦隊を攻撃する爆撃機を損耗させること、にもつながる一石二鳥の効果を狙っている。
こうすることで、大西洋を渡ってくる物資の流れを各所で同時多発的に妨害し遮断するのである。
さらに直接的な支援ではないが、日本海軍の一部がインド洋で活動していて、通商破壊を行うことも同時に行われたり、イタリア海軍の潜水部隊のアレキサンドリア攻撃、機雷敷設などまで行われるよう調整されている。
日本、イタリアとは詳細な連絡はできないが、暗号解読されているだろうから、時期をあわせて行うことだけ決めてあり、詳細はそれぞれに一任する形であるのだ。
「地球規模の嫌がらせ、ってやつだな?」
「アメリカ西岸から北大西洋、地中海からインド洋で似たような時期に、通商破壊を目的とした作戦が起きるから、地球規模のと言うのはあながち間違いではないな。
例え暗号解読で日本やイタリアの動きがばれたとしてもだ、米英の海軍は対応行動をとらざるを得ない。
我々と同じく、常に不足気味の護衛兵力を回さざるを得なくなれば、撃破して修理にかかっているのと同じくらいの効果があるからだ。」
「作戦発動まであと、、」
「三時間だ。」
「これってひょっとしたら、艦隊決戦ってことにもなるよな?」
「言うとおりだ。先の大戦ではユトランド沖だけの狭い範囲だったが今回のはスケールがはるかにでかい決戦だよ。」
こうして、第二次大戦の戦局を変え戦後の世界をも変えたという大作戦が始まってしまうのである。
とか書いていると、話がすっかり大きくなりました(>_<)。
あー大変だ




