イギリス国内某研究所にて
イギリス国内ではウルトラ情報をめぐり議論されています
「諸君、以上がウルトラから得られた情報だ。
これについて忌憚ない意見をお願いしたい。」
「ワシは、ベアルンに搭載されると言う特殊兵器に注目したいな。ドイツも核分裂については研究が進んでいるよな?」
「はい、基礎的な研究は進んでますから、後は工業的、つまりいかに効率的にウラン鉱から、核分裂に必要なウランの同位体を抽出するかの問題になります。
何をどうすれば良いかは解明されてるのですから。
ただ、現在のように各所を我々が空襲している中で、安定したウランの抽出を、ほんとにできるのか?ですね。」
「前回報告のあったペーネミュンデの研究所はどうなんだ?」
「それについては、空軍の偵察機が撮影した写真がこれです。発射台らしきものがここに。
後、気になるのは、こちらのエンジンの試運転場のようなものです。
ここにあるエンジンが言われているような液体燃料を使う、高度なエンジンだとすると、今まで我が国の対空兵器として使われたりしていたロケット弾とは次元の違うものであると、ロケット関連の技術者から報告があります。」
「整理すると、ドイツは核分裂を軍事的に利用する段階の入り口には来ている、がまず1つ。さらにそのような兵器の運搬手段としてのロケット兵器の開発もすでに、試作品をテストする段階には来ている、そう言うことか?」
「そういうことですな。」
「では、ベアルンに搭載した「特殊兵器」というやつは、現実的な脅威と見なしうる訳だな?」
「まだ実用化にはほど遠いでしょうが、ロケットが本格的な発射試験を行いだした段階で、現在想定されている2000ポンドの弾頭を着けて発射できるだけでも、具体的な脅威になります。
なんせ発射されて落ちてくる時の速度は音より早いらしいとされています。
これは現在、我が国で開発中の噴射式エンジン搭載機でも、迎撃は不可能と推定されます。」
「そうなると、ベアルンの撃破、は優先順位をあげざるを得ん訳だな?」
「はい、ドイツはベアルンの機関を改装し、どうやら27ノットは出るようにするつもりらしいです。
改装後ですら、空母としては、多分世界で最も遅い正規空母になりますが、超高速のロケット兵器の母艦と考えたら、あまり問題はないと海軍では考えています。
むしろ広い格納庫、水上機の運用にも便利なデリック付きなどは、かさばるだろうロケット兵器のハンドリングにはむしろ絶好の艦になるかもしれないと言ってます。
まあドイツにしても、もて余す艦がこのような用途に好適なのはありがたいでしょうね。
後、海軍からみたら、サンナゼールのドックそのものが目障りで、ドックをもぶっ壊したいみたいです。
内輪の研究では、爆薬を搭載した旧式艦艇を突撃させて、ドックを爆砕する案もあるそうです。
ただ机上で検討してみると駆逐艦程度の艦艇に搭載した爆薬で十分破壊はできるのはわかったのですが、突入の方法、さらに難しい離脱の方法について検討が必要とのことです。」
「ドックを壊しても、ベアルンが修理されては意味がないから、ベアルンの出撃、または公試を狙う必要はあるだろう?」
「そうですね。」
「よし、今回の結論としては、ベアルンが出港したタイミングで、撃破。ドックを狙う件は実施する海軍に一任するでよいだろうか?」
「異議なし」
「この線で首相閣下には報告する。 では諸君、いずれまた」
「あと1つ提案が」
「なんだねバーンズ?」
「ドックをやるなら、新たな考案があります。資料がこちらにありますので、ご検討をお願いします」
「これは興味深い。先生、私に同行いただき、直接首相閣下に提案されては」
「それは願ってもない。では伺いましょう。」
「ではこれにて今回の会合はお開きと致します」
ベアルン撃破、サンナゼールのドックを破壊する方向ですね。




