チハ最後の勝利
ウクライナ支隊にて97式中戦車が対戦車自走砲として活用されているのは既述の通りだが、まだ未改装の車両もあり、連絡用などに使われているのである。
すでに日本的感覚では「重戦車」が主力戦車の時代であるが、とある偶然でこのチハ車が最後の勝利を上げる話です。
「良く帰ってきたなあ」
「運が良かったんですわ」
モスクワ目指す日本陸軍ウクライナ支隊に配属されている、最後のオリジナルの97式中戦車の車長らは、あっさり答えた。
「またご謙遜を」
「いや、正直言うとこいつのおかげなんです」
彼はごっつい安定翼の付いた外装式の擲弾を持ってきた。
「実はこないだ、交流会した時にドイツ軍がお蔵入りさせてたこいつをいくつか手に入れたんです。」
彼が持ってきたのは、37ミリ対戦車砲用に作られたタ弾、対戦車擲弾である。
「こいつは、例のTー34対策で慌て作られたんですが、そのあとは、より強力な対戦車砲が出てきたから、倉庫に眠ってたらしいです。
ただでは悪いから一升瓶と引き換えてます。
それはさておき、こいつをチハの砲身に合わせたりするのは面倒だったりしますが、低初速の戦車砲だから、何とか発射できるのはわかりました。
でも、外装式で、一発撃てば、次弾装填は、戦闘中には冷や汗もんだから、実用性は低いです。
まあ、待ち伏せして使うことや、1個小隊で例のスターリン戦車に集中射撃するなど工夫が必要ですね。」
「まともに射表もないのに良く当てたもんだね」「待ち伏せが成功して至近距離からでしたから。」
「まあ、チハでスターリンをぶっ飛ばした快挙は、いい宣伝にはなるからしっかり記録しといてくれよな」
「了解しました」
タミヤの37ミリ砲のキットに前装式の対戦車擲弾が入っているのを思いだし、使ってみた次第です。至近距離、小隊での集中射ならばなんとかなるかな?




