サンクトペテルブルグからの放送です。
サンクトペテルブルグから、負傷兵達が後送されていきます
「我が軍の、傷ついた勇者たちが、接岸している、クイーンメリーとクイーンエリザベスに運ばれています。」
サンクトペテルブルグからのラジオの中継は、モスクワへの途中で傷ついた米軍や英軍の兵士たちが、より適切な治療が受けられるイギリスに送られるところを伝えている。
巨大なこの姉妹船は、多くの負傷した兵士を気持ちよく安全にイギリス本土に連れていってくれるようである。
何せ、以前も描いたように大きさ、スピードともずば抜けた船であるため、皆さん、一安心、と言うところか。
さて同じ頃、黒海のセバストポーリには多数の装備が揚げられている。
いずれも、ドイツ軍の補給のためらしく、多数のでっかい木箱やらが、次から次へと揚陸されている。
リバティ船やエンパイア級貨物船のうちでも、重量物の輸送、取り扱いに適している船が使われているようである。
「最近は、モスクワ攻防戦が佳境に入ったみたいで、補給物品がひっきりなしだな。」
はるばる日本から派遣されている特務艦隊の水兵たちが、ペンキ塗りしながら話している。
日本海軍艦艇はグレー1色であるのが、永らく慣習になっていたが、黒海や地中海で活動するうちに、米英の艦艇やドイツ艦艇に影響され迷彩を行うようになっていた。
迷彩にも色々あり、例えば不規則な色や形を大胆に組み合わせた場合、はたまた船首に波が上がるのを描いてみたり。
それぞれのやり方には、目的があり、潜望鏡から観測した場合に、目標の進路を見切りにくいようにしたり、艦首の波のたち具合を誤魔化して速力の目測を狂わせたり、パッと見たときには、船と認識しにくいように細工したりといった意味の細工なんである。
まだまだ多くの物資が送られてくるらしく、日本海軍も、これからまた、船団護衛に忙しくなるようである。
特務艦隊には以前述べたように、貸与された艦艇も来ているが、やはり勝手の違うフネはどうもと、日本から回航されてくることになった。
こういう護衛任務に向いた、「雑木林」とあだ名されてる松型駆逐艦などである。
回航されてから、急遽取り付けられたマウストラップのような簡易な前方投射型の対潜水艦兵器や、日本製より安定しているアメリカ製の電探などにより、旧式化した特型駆逐艦を凌ぐ対潜能力を持つに至り、このため、特務艦隊は黒海、地中海方面でも有数の有力な対潜部隊となるのである。
黒海でも、軍需品輸送が活発化しています




