大乱戦
ウクライナ支隊は、ソ連軍の主攻正面に位置しているから大変です
「ごつい戦車じゃ」
「そうですね」
彼ら、日本陸軍の歩兵たちは、先ほど撃破したソ連軍の重戦車に呆れ返っている。
モスクワ近郊まで進出した日本陸軍ウクライナ支隊の側面を突くべく、重戦車連隊と狙撃兵大隊が、攻撃してきたのを、まさにやっとこさで撃退したばかり。
昨日、航空偵察で戦車部隊が発見されていたが、すぐ暗くなってしまい、十分な阻止攻撃には至らなかったのだ。
幸い、早朝に航空支援が可能になったため、キ102や、海軍の彗星などが、目に着いた敵部隊を叩いてくれたから少しはましになったが、敵も対空火器を前進させてきているため、少なからぬ損害が出ている。
朝飯食った後、前衛部隊同士の交戦が始まり、夕方近くまで激しい戦闘になっていたのである。
敵も我が支隊を側面から突くべくタンクデサントを送りこんで来たが、事前にその側面を攻撃できるように布陣できた、対戦車部隊のおかげでなんとか対処することができた。
4式中戦車改を敵の正面に配置、陣前1500メートルにて射撃開始した。敵が突撃開始してきた後、側面に控置していた対戦車砲兵が攻撃開始した。
当初、射程の長いPak43搭載の和製ナースホルンが攻撃、続けてPak40を搭載したチハ車が戦闘加入した。
いささか距離が遠いが、Tー34にしても、ISー2とかにしても、側面を晒すわけであり、何とかなる。
さらに、距離が縮まると、無反動砲を搭載したチハ車やら、試作対戦車擲弾発射機(例のスーパーバズーガのコピー品)を抱えた歩兵達の攻撃も始まった。
このころには、ありとあらゆる火器を敵に向けて撃ちまくる状態である。
ひどい場合は85ミリ高射砲の水平射撃で、側面を見せたISー3を撃破するやら、その近くでは、履帯を切られたISー2Mに火炎瓶攻撃みたいなノモンハンの頃みたいな戦闘まで。
夕闇迫ってきたころには、敵の攻撃部隊も消耗してきて順次撤退し始めたが、こちらも弾薬を射耗した戦車や自走砲が多く追撃どころではない。
頼みの近接航空支援も、この時代には無理である。
司令部も含め、明朝の戦闘に備えた補給を考え始めたころ、突然、敵の方向で激しい閃光が煌めいた。
「雷?」
なんとも間抜けな会話が司令部でもあったが、そんなに悪天候でないはず。「なんだ?通信か」
「米軍からです。貴隊の正面のソ連軍に対し夜間爆撃中とのこと」
「何! よし。補給完了次第、威力偵察を出せ。状況によれば、続いて本隊も出す。」
「司令?」
「わかってる。我々の任務は中央軍集団の側面援護だ。ただしこの任務の範囲なら、積極的な反撃も認められとる。
何、こないだ飲んだ時に、マンシュタイン御大には話を通しとる。」
「了解しました、直ちに偵察隊を出します」
「それからな、第3軍にも、一報入れてくれ。あちらも色々考えがあるらしいから」
「承知しました」
アメリカ第3軍の企み、何をするやら




