表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イギリス海軍の疫病神  作者: 通りすがりの野良猫
19/208

暗号は大丈夫なのか?

洋上での空母搭載機との遭遇は、暗号が解読されている一つの証拠と思われましたが?

洋上での空母との遭遇は、ビスマルクに司令部を置く、艦隊司令部でも驚きを持って迎えられた。

なかでも通信参謀は、深刻な顔をしていた。


商売柄、通信それも通信保全に関する意識が強かった。


彼は情報として回ってきた、最近の我が喪失艦艇のデータを見ていて、一定のパターンがあるように思えてきたのだ。


特に顕著なのがUボートである。

ミルクヒーと呼ばれる補給潜水艦が、通信後に消息を絶つ例が多いのである。


我々も通信を傍受したら三角測量で大まかな位置を確認するが、潜水艦の場合、潜没したら当然、位置は不明になるはずである。

しかし、最近ミルクヒーに集中して被害があるのはおかしい。特に気になるのは、ミルクヒーの通信内容である。


普通のUボートと異なり、兵装をおろした分、母艦として燃料補給するため、通信内容に次回の邂逅予定の情報が含まれているのだ。


当然、その内容は暗号化されているのだ。


一般のUボートが無線を発したばかりに近隣で警戒中の敵艦などに捕捉されてしまうのは、まだわかる。


しかし、「位置情報を暗号化して送信する」ミルクヒーが確実にやられているのは「偶然ではありえない」。


「暗号が部分的にも破られている可能性がある」

この通信参謀の結論は、司令部に大きな衝撃を与えた。


他の、情報参謀なども、再度被害を分析したが、「ミルクヒーの被害は、偶然ではありえない確率」となった。


司令部で激論した結果、我々の作戦暗号すら、すべてではないだろうが解読されている、可能性すら想定せざるを得ないとなった。


すぐ海軍総司令部に連絡するにもうかつな経路は使えない。


さらに今進行中のジブラルタル奇襲作戦もが、暗号を解読した上で、迎撃に来ていたならば?

念のため、再度作戦内容の検討をして、哨戒機との遭遇位置やら分析したりしてみた。


しかし、哨戒機の位置やら考えると、空母の推定位置はジブラルタルからはるかに離れた位置であり、他の基地からの支援も受けにくい位置にある。


また、発見された哨戒機がレーダー装備で武装はロケット弾というのも、あくまで対潜装備であり、水上艦艇攻撃を意図した形態でないことも、暗号が解読された故の待ち伏せ、は考えにくいものであった。

現実にはドイツ艦隊が北にむかうのに呼応した追撃態勢であったのが、疑念を招いたのである。

とりあえず艦隊司令部としては、まずは目の前の敵を片付けていくのを最優先にしていくとなった。


一方、暗号が解読されている前提でさらに欺瞞作戦を立て、イギリス海軍を混乱させる作戦も、この時を境に開始されるようになったのである。


「鴨1より、敵機動部隊発見、空母1、戦艦2、巡洋艦3、駆逐艦その他10あり、、、触接は鴨2に交代、我帰還する。」

スツーカからの情報は、いよいよ艦隊を色めきたたせるものである。今は午後12時。

哨戒機はわが艦隊を発見せずに帰還しつつある。


一方わが艦隊は少なくとも上空直衛の機体は発艦済み、今なら先手が取れる。

甲板上で待機中に、対艦装備を追加した一部の機体と援護戦闘機に発進命令が下る。


アメリカ製のカタパルトは機嫌良く、対艦装備の機体を発進させる。

次に援護戦闘機が両翼に増加タンクを搭載して発進、先行する攻撃隊を発進させる。


本来なら雷撃機を出したいが、魚雷の搭載作業に削く時間も惜しい。本格的な対艦装備は第二次攻撃しか出せない。

何はともあれ、空母の甲板を叩かないとならないのだ。

連中が攻撃隊を並べるまでが勝負である。

さあどうだ!




とりあえずは、敵位置判明、攻撃あるのみです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ