Bー36迎撃作戦
Bー36が華々しく、実戦投入されたことは、ソ連軍とさらには米海軍にも衝撃を与えたのである。
Bー36の登場は、米、ソ連ともにインパクトを与えた話である。
まず、ソ連。
モスクワ軍管区に、真っ昼間から侵入され、防空司令部を吹き飛ばされたことで、スターリンは怒り狂ったが、罰すべき防空司令が、司令部ごとぶっ飛ばされたゆえに、怒りの矛先を向けるところがなかった。
代わりに、とはならず珍しいことに、「Bー36を撃墜できる機体を用意せよ」となったのである。
そこでそのために必要な、ジェットエンジンの開発となるが、基礎的な情報が足りない。
そこで、NKVDの出番となり、ドイツ軍のジェットエンジンをかっぱらう計画を立案する。
それはかなり粗っぽい作戦で、ドイツ空軍の前進基地を挺身隊で襲撃、Me262のエンジンをエンジンナセルごと強奪して、特別改装したAnー2輸送機に積み込み持ち帰ると言うものである。
これは一つの前進基地を制圧するため戦闘機1個連隊をつぎこみ、さらに、エンジンを積み込んだ輸送機を援護するのにも戦闘機連隊1個を投入するかなり大胆な襲撃作戦だったと言われている。
とは言え、この時期ドイツ空軍の前進基地ですら、有名な88ミリ高射砲や、55ミリ対空機関砲を積んだケーリアン対空自走砲、30ミリ対空機関砲を搭載したクーゲルブリッツ対空自走砲などが高性能なアメリカの早期警戒網と連接して、(在来の高射砲による防空網として)最強レベルになっていたので、現場の戦闘機連隊内では、「犬死させる気か?」とまで言わしめたぐらい、無茶苦茶な作戦であったという(ただし表向きは皆さん鋭意努力するフリはうまかった)
しかし幸か不幸か?ドイツ空軍のMe262が亡命飛行!をしてきたのである。
実機が手に入る、ヤバい作戦しなくと済む〜、であったが現場の防空指揮官は、前任者がぶっ飛ばされたことから、過剰に反応、せっかく亡命してきた機体を迎撃し、撃墜してしまうのである(>_<)。
比較的低空で侵入してきたため、残骸は比較的形を止めたから、良かったが、モスクワ軍管区の防空指揮官は、あやうくスターリンの粛清リストに名を連ねるところであったという(>_<)。
なお、このとき得たターボジェットエンジンの技術や、ジェットエンジンの最先進国であるイギリスに潜りこませたスパイのおかげで、アメリカやイギリスにわずかに遅れた形で、ジェットエンジンを実用にして、「Bー36対策は完璧〜」にしたはずが、すでに相手はBー47、になっていて、「また1から対策」となってしまったそうな。
また、Bー36を目の敵にしていたのはスターリンだけではない。
なんせ、モスクワ侵入のあと、何を思ったか、「わざわざ」サンクトペテルブルグ沖にいた米空母ミッドウェイ上空をフライバイしたのである。
これは空軍のパイロットの「いたずら」であったが、当のミッドウェイからしたら「喧嘩売って来やがった」としか取れなかったのである。
海軍は、当時独立したばかりの米空軍が、Bー36の能力を見せつけ、かってのミッチェル将軍のように「空軍万能論」を言い出し、海軍の空母などの予算を奪わないか警戒したのである。
残念ながらこの時はミッドウェイは搭載機の収容中で、CAPでの「エスコート」にも失敗したので完全に上空通過をさせてしまった。
しかし、米海軍も意地を見せた。
Bー36が本土に帰投する前に、グロスシーブルーの海軍機による突然の大編隊に囲まれたのである。
大西洋艦隊の空母搭載機による「歓迎飛行」は、空母無用論に近いような風潮であった新生米空軍への無言の抗議であったのだ。
ソ連軍は後にミグ15を投入したし、米海軍も「打倒Bー36」を決意して、高性能ジェット戦闘機の開発に熱狂的な取り組みを行うようになる(^-^)




