大変な代物を要求されたが、まさか?
ウクライナ北部の湿地の近くにあるゴメリという街が焦点に
アメリカ第3軍の要請から、現地のウクライナ派遣隊経由で、陸軍御用達の上陸支援用のあきつ丸等を使って、新たな車両が送られてきた。
それも丸々、詰めるだけ詰めている。
何でも今回の輸送で洗いざらい、持っていくことになったそうだ。
また現地で第4技術研究所のスタッフが、のりのりで、自由ウクライナ軍の技術者や事務官に話をしている。
あのスタッフ、ロシア語なんて知らないとか言ってたものの、互いに技術屋さんだし、幸い単位もお互いにメートル法だから話を通しやすいのだろう。
図面と簡単なスケッチだけで、今回送付された「新兵器」に関する装備が 現地でできる。らしい。
また一方ではドイツ人技術者からマニュアル片手に指導してもらいながら、夜間にいろいろと装備実験をしているグループもある。
兵隊の背中には、なんか重そうな付属品がついてるようだ。
あのサイズを担ぐのは、疲れそうだ。
とかいいながら、我が大日本帝国陸軍は、新たな歴史を刻むのである。
ただ、その現場に私もいかなきゃいけないのは、困ったことである。
場所はウクライナ北部、ドニエプル低地とか言う、とにかく広大な湿地帯である。
そこを舞台にした作戦って、まさか?
以前自分たちが苦労したあの装備が日の目を見るのか?
そう思うと、物騒な前線に行く、憂鬱な気分もこころなしか晴れる気がする。
さて場面は、その数ヶ月前の話に戻るのである。
サンクトペテルブルグの司令部では、ソ連軍の進出状況や、自由ウクライナ軍、ドイツの中央、南部の各軍集団の状況がまとめられている。
さらにここには、現時点で最強の戦略偵察機からもたらされた情報も来る。
Bー29改装の偵察機、Fー13である。後に改称されRBー29となる機体である。
こいつは当時としては最高水準の高空性能があり、並みのソ連空軍機では歯が立たない。
こいつは悠然と必要なエリアの写真をとりさらには敵レーダーの情報、周波数、パルスの繰り返し数、ピーク出力などをも収集している。
また相変わらずイギリスからの助っ人、モスキートの偵察機も飛び回っている。
これらの情報を集計した結果、ウクライナ北部に厄介な敵の施設が判明した。キエフから北に向かっていくところにあるゴメリである。
ここにはソ連軍のレーダーステーションや偵察機の基地が存在すると判明した。
ここは車両など通行不可能なドニエプル低地を西に望み、キエフ以南のドイツ軍などを見張る拠点になっているらしい。
ここをどうにかしないと安心して北進できないのである。
この状況に対して我が国のウクライナ派遣隊が提案したのが以前にも述べた挺身攻撃である。
これを実現するためにこの数ヶ月があったのだ。準備を重ねた作戦がまもなく開始される。
作戦名は「コブラ」作戦である。
何がコブラなのかはこの後に判明する。
さあ何がでるやらお楽しみに




